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第7話

次の日の学校…。

ユーヤ、多少風邪気味ではあったが元気に登校。


改めて調査のお礼と、質問をしてみた…。


「あのさ…。」


「なに?」


「考えたんだけど、昨日の調査状況?弁当は社員のためのモンだった。そして、吉沢さんの家には恋人らしき同居人がいるってことじゃん?」


「そーゆーことだねぇ。」


「それってさ…。レンさんに言ってみてもいいもんかな?」


「…いンや…。あくまで憶測の枠をでないわけだろ?これはレンさんから言われて調査したわけじゃない。お前がそれを言ったとするよ?は?何それ?なんでそんなこと知ってんの?ストーカーでもしたの?っていわれんのがオチじゃん。」


「あ…そうか…。」


「そ…どれもこれも確定ではない。」


「くぅ~…なんか…吉沢さんの弱点がつかめたような気がしたんだけどなぁ~。」


「なかなか…デートの約束を覆せるようなところまではいってないよな。レンさんにいっても、邪推、野暮、下衆の勘繰りとしかとられないだろ…。」



解決策も見いだせないままバイト先へ。

店長の奥さんから


「アタル君ゴメン。今日、レンちゃん、風邪ひいたとかで休みなのよ。一人足りないけど…頑張って。」


「あ…マジすか…了解っす!」


ユーヤに続いてレンさんも風邪か…。テンションがめっちゃダウン…。

そこへ、吉沢さんがいつもの弁当とコーヒーを持ってレジへ来た。


「あ。しゃいませ。」


「吉沢さん、今日休みなんだって?」


「(知ってんだ…)ハイ。風邪だとかで。」


「そうみたいだね。昨日も遅くまでメールさせちゃったからなぁ…。」


「(はぁ??メール…)いつも同じ弁当で飽きないっすか?」


「…いや、ウチの事務員さん、いつも残業になっちゃうんで夜食にね…。」


「あ、…そなんすか?じゃ、ご自宅でご自炊っすか?」


「…まぁ…そうだね。」


「この前、手作り久々とかっていってたような…。」


「…あ!…時間がないんだ。じゃぁ、どうもありがとう。吉沢さんによろしく。」ニコ


うーん。やはり、何かある…

休憩時間。


Line「チンコン」


お!レンさん!!??


Line:サオリン「今日のお仕事はどんな感じ?」


なんだ…サオリかよ…。レンさんじゃねーのか…。


Line:アタル「順調だよ。定時就業。」


Line:サオリン「仕事終わったら会えない?」


Line:アタル「いいよ?でも腹減った。」


Line:サオリン「じゃぁ、今から何か作るから、駅前公園で。」


Line:アタル「りょ」


仕事も終え、駅前公園へ。

あいつの考えてることはだいたいわかる。

おそらく、噴水前のベンチだろう。


「やっぱここにいた。」


「お!お疲れ!はい。軽食。ここで食べちゃってよ。」


と言って、ランチボックスを開ける。

なんか、すげぇ。すげぇんだけど…。


「軽食ってずいぶん、豪華じゃね?こんなにすぐ作れるもんなの?冷食?」


「ちがうよ…。すぐできるやつばっかだよ?」


「なにこれ?飯のサンドイッチみてーなの?」


「それは、おにぎらずといいます。」


「は?おにぎりじゃねーの?ウメ―!唐揚げもウメ――!」


「じゃ、よかった。…厳密には、それ唐揚げでもないんだけど…ね…。」


「そうなの?でもサオリはマジいい嫁さんになるよな~。なれるやつ、うらやましいわ。」


ドキン…。

サオリの胸は高鳴った…。


「ウチのかあちゃんの唐揚げの100倍うめーわ…。あれ。もうねーの?もっと。」


「…アタル…さ…。」


「ん?」


「ずっと一緒にいたじゃない?年長から?」


「まーそーだなー。あん時、オレのケツ蹴ったろ?」


「そんなこと…忘れちゃったよぅ…。」


「なんか、女代表でさ~。」


「それは、アタルがユーヤと砂場独占してたからじゃん!みんなに砂投げたりさ~」


「やっぱ覚えてんじゃん。さすが学年トップ!」


「ま…ね…。」


「あん時から、ユーヤと俺はお前の奴隷。子分1号2号」


「あたしは、そーゆーの嫌だったんだけどね…。」


「ま、楽しかったな~。遊んでたあの頃…。いつの間にか…女みてーになりやがってよ!」


ドキン…

大きな鼓動とともにサオリは、アタルの顔を見つめた…。


「けっこうモテてたろ?今まで付き合った人は?」


「そんなのいません!」


「そーなんだ!意外!へー!」


「告白は…何回かされたけど…。」


「やっぱり!すげーーー!」


「………告白するのは…今日が初めて…。」


「………え…?」


「アタル…あのね…あたし…13年間…アタルのこと…」


ちょ、なんだよ…。


ドキドキドキドキ


「…好き…なの…。」


ドキン!!!


心臓が破れそうに高鳴った二人…。


二人に沈黙が訪れる…。


「…………。」


ドキドキドキドキ


勇気を出してサオリは次の言葉を


「………付き合い…たい…。」


「…………。」


「………一緒にいたいのぉ…。」


「………サオリ……オレ…その……ゴメン……。」


「………そ……か………。」


「ウン…好きな人が…いる…。」


「…あたしじゃ…ないの…ね…。」


「ウン…ゴメン…。」


「…そ…か……そんなさ………ゴメンゴメンいわないでよ…。」


「ウン…ゴメン…。」


「…アハ…また言った……グス…。」


「…あは…。」


「…グス……んふふ…帰るね…じゃ、また学校で…。」


「うん…いや、暗いから送ってく…ぞ?」


「…いい。…グス……一人で帰りたい…。」


「…そか…ゴメンな…。じゃ、また学校で…。」


何もできないが、サオリの背中を見送った。

暗がりに消えていくまで…。

あいつの13年間の気持ちを受け入れられないモヤモヤ感…。


オレも、あいつにならって、ダメでもイイ!

レンさんに告白する!!



サオリはアタルとはなれて公園の薄暗い街灯の元、藤棚のある下のベンチ…。一人腰かける…。


「…グス…エッ…エッ…エッ………。」


「アッ!アッ!アッ!アッ!……グス……。」


「……………よっ…。」


声をかけられ、驚いて振り向くと、片手を上げてユーヤが立っていた。


「……グス……なんで…ここにいるの…?グス…」


「……お前の考えてることぐらい…わかるよ…。」


そう言いならが、ベンチの隣に腰を下ろした。


二人とも公園の中央にある、動きの止まった噴水をしばらく見つめていた。


「…ハァ―――――あ……。フラれちゃった…。グス…エヘ…。」


「…頑張ったんだな…。」


「ウン…頑張った…。13年の思いを思い切ってぶつけた!」


「そうか…。」


「でも…後悔してない!」


「そうか…。」


「ふっきって明日からまた頑張る!」


「そうだな…。」


「これで、受験だけに力を入れられる!」


「お前なら大丈夫だ。」


サオリはクスリと笑って


「今度はユーヤの番だね。」


「ん?」


「言ってたじゃん。あたしの好きな人がアタルだって言った後に…オレも片思いしてるって…。」


「言ったっけ…?」


「言いました。」


「…そうだな…お前の言うとおりだな…。」


「そう!」


「今度は俺の番だな。」


「そう!早く言って、フラれて、受験だけに専念しなよ。」


「そだな…フラれてみるか!」


「がんばれ!」


ユーヤは立ち上がって、サオリの前に立った。

そして…


「サオリ。13年間ずっとお前だけ見てた。」


「え…。」


突然のことにまた高鳴るサオリの胸。


ドキドキドキ。


ユーヤはまっすぐな心をサオリにぶつけた。


「好きだ。付き合って欲しい。」


ドキ…ドキ…ドキ…ドキ


「ハハ…。空気読めないマン。ただいま参上。」


「フフ……マジ?もう…あたし、今フラれたばっかだっつーーの!」


「ハハ。でも正直な気持ち。もう黙っていたくない。」


「フフ。今そんな急に返事できないよぉ!」


「いいよ。気持ちさえ伝えられれば。お友達からで。」


「じゃぁ、お友達から…。」


「オイオイ!じゃ、今まではなんだったんだ?なぁんて…ハハ」


「フフフ。」


「ハハハ。」


互いに笑いあって、サオリはベンチから立ち上がった。

もう、頬から涙は消えていた。


「じゃ、帰ろっか。勉強しないと。」


「ウン。一緒に帰ろうぜ。」


「いつも一緒に帰ってるじゃない。」


「なんだよ。記念すべき、お友達になってから初めて一緒に帰るんだろ?」


「フフ。そうだね。じゃ、帰りましょうか?ユーヤさん。」


「ハイ。…あの~…サオリさん、手は?手ぐらいはつないでいい?」


「…なんか強引…ガツガツしてるっつーか…。いいよ。じゃ…。」


「やっ…たっ…!」


「んふふ…。」




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