第4話
次の日学校。オレは、休み時間、席を立ち、トイレに行っていた。
途中、サオリにあい、昨日のクッキーの話をされたが、軽くいなした。
オレのクラスに向かうサオリ。
「ねー。ユーヤ?」
「なに?」
「アタルにさ~。昨日のクッキーの感想聞きにいったのよ。」
「ハイハイ。」
「そしたら、なんか、味は良かった…。とかってそれだけで、めっちゃ態度悪い一つーか、怒ってるつーか…。」
「ふーん。」
「昨日のクッキー、美味しくなかった?不合格?」
「いや、めちゃくちゃ美味かったよ?売り物みてーだった。」
「そうなんだ…ヨぉシ!でも、なんだろーね?あの態度…。」
「なんだろ…。聞いてみるかな…?」
「あーーあ…。11月までには…。」
「11月までには?」
「ウン…。あたしの13年の思い伝えられるかなぁ…。」
「…そうだな…。それはサオリ次第だな…。」
「ウン…。」
「オレは…応援してるから…さ…。」
「ウン…ありがと…。」
用を足し、教室に戻り、ユーヤの席の後ろに座る…。
「ただいま~…。トイレめちゃこんでた。」
「さっきまでサオリ来てた。」
「あっそ。」
「あっそってオマエ…。」
「昨日さ…。」
「なんだよ。」
「レンさんもクッキー作ってきてくれたのよ。」
「おうおう。」
「で、帰りも一緒でさ。お腹すいたっつーのよ。」
「それからそれから?」
「じゃ、さっきもらったレンさんのクッキー二人で食べましょ?つって。」
「そんでそんで?」
「そしたら、夜の暗さから、取り出したのがサオリのクッキーで。」
「うんうん。」
「これ、あたしんじゃない。チョコが入ってる。彼女からもらったんでしょ?つわれちまって…」
「チョコ入ってたよな~。ほぼチョコ的なのもあったよなぁ。」
「まーそんで、オレ非常の狼狽。」
「ダハハハハハハハ!」
「もう、最悪だよ…。せっかくクッキー作ってもらったのに…。」
「そんでサオリをうらんだっつーわけか。ハイ!大変よくわかりました!」
「なんだよ…。」
「オマエのせいじゃん。」
「ま…そ…なんだけどね…。」
「サオリ、悲しんでたぞ?」
「そーなの?」
「あれだ。オレが昨日言ったこと忘れろ。」
「どんなの?」
「オレがサオリ、好きだっつーこと。」
「なんで?」
「オレの気持ちなんか関係ないから。」
「どういうこと?」
「恋はフェアーに行きましょう。」
「ハァ…意味はわからんけどね…。」
「オマエさ実際、バイト先のレンさんは君のことどう思ってるの??」
「…ソレ言われると、テンション、ガクーーッと下がるんだけどね~…。」
「つまり、なんとも思ってない?」
「いや!11月までには告白する!」
「!!!」
「そして、楽しい、甘いクリスマスをする!」
「これは、いい夢をもってるな。」
「…でも、レンさん、憧れの人がいるみたいでさ~…。正直分が悪い…。」
「そーなの?」
「イケメンだし、高身長だし、社会人だし、クールだし…独身だし…。」
「天は二物を与えもうたって感じの人か。」
「そーなんだよなぁ…。」
「孫子曰く、彼を知り、己を知れば百戦してこれあやうからず…」
「うんうん」
「勝てない戦はもともとやらない。負け戦ならやめとけ。」
「いや、レンさんが、その客…吉沢さんに告白するとは限らない。」
「彼を知らずして己を知るは一勝一負す。」
「なに?」
「自分だけ知ってて、相手を知らなくちゃぁ勝負は五分五分。」
「なるほど。」
「レンさんがどんな行動にでるか、チェックしてみろよ。」
「そういえば、昨日、クッキー渡してた。」
「なるほど…。なかなか行動力があるな…。うーん…それは…。オマエにも渡して、その吉沢さんにも渡してたんなら、どっちかはついでだろうな。」
「そうなるかな?」
「まー…たぶん、オマエがついでだったのかな?」
「いや、俺は前日に駅に送っていった!それのお礼だと言っていたから、多分俺が本命!」
「でも、吉沢さんはただの客。駅に送っていってもいないのにもらえた…。」
「く…。」
「彼を知らず、己を知らざれば戦うごと常にあやうし」
「く、く、く、く、く………。」
「恋は盲目なれば、第三者の意見も取り入れて、引き際を感じ、別の恋を探してみれば?」
「いや、あきらめたらそこで試合終了!」
「おお。オマエも名言出してきたな。」
「…ま、もうちょっと頑張ってみる…。人の心はそんなに簡単に割り切れないでしょ…。」
「そうだな…すげー弱気を感じるけど…。」