第3話
次の日…学校…。ユーヤが元気に挨拶してくる…。
「おいっす!」
「……おいっす…。」
「…なんだよ…元気ねーなー。」
「昨日さ…レンさんと帰り道一緒に帰った…。」
「あれあれ?告白でしたか?かっかっか!青春花盛り!」
「オヤジみてーな言い方だな…。ちげーよ…。ろくに話もしねーで駅についちまった。」
「そうなの?お互いに黙ったまま…的な?」
「違う。蚊の話で終わった…。」
「蚊…蚊…ですか…。」
「…オマエさ~。」
「ハイハイ。」
「昨日、Lineでオレの勝ちみたいなこと言ってたけど、サオリと付き合ってんの?」
「…いや…付き合ってないです…。」
「……でも好きなんだ…。」
「好きか嫌いかでいえばハイ…。」
「好きなのね…。」
「好きか好きかでいえばハイ…。かなり…ハイ…。」
「選択肢なくなっちゃったよ!つまり好きなのね?」
「でもいいんだ。今の三人の関係くずしたくないし…。」
「それは殊勝な心がけ…。でも思い伝えても、いいんじゃね?」
「…それに、あいつ別に好きなヤツいそうだし…。」
「そうなんだ…。」
「オマエは…?サオリのこと思ってねーの?」
「…うーん…。」
「…………。」
「…うーーーーーん…。」
「…サオリも気の毒だな…。」
そこに、別のクラスのサオリが珍しく朝からやってきた。
普段は放課後、ユーヤを迎えにくるだけなのに。
「おーい。ユーヤ。昨日約束したクッキー焼いてきたよーー!」
「おーい!やったぜ!」
へー。そうゆうことね。なんだユーヤ。よかったじゃん。
「…あと、アタルにもハイ。」
「おー!ラッキー!」
おー…。オレにもかよ。つけたしだろうけど、ありがたくもらっておきましょう。
「サオリちゃんの愛情がたーっぷりつまってるからね!」
「ハハ!バイト終わってから食うわ。」
「ポリポリ。マジうめー…。」
学校も終わり、バイト先へ。
「おはようございまーす!入りまーす!」
「あ!アタル君!」
「ハイハイ。」
「昨日、送ってってくれてありがとね!これお礼!」
え?え?え?レンさん…お礼って…
「…あ…クッキー。」
「そう。昨日帰ってから焼いたんだ~。」
「あ、ありがとう!」
「うふふ。こっちこそありがとう!またよろしくね!」
「ハイ!」
テンションマックス!
マジか!昨日帰ったのって遅くねぇ?
それで作ってくれたなんて…こりゃ、オレに気があるんじゃねーですか?
ふふふん♪
鼻歌まじりでジュース棚をフェイスアップ!
おいおい、ヤンマガの前にヤンジャン置くんじゃねーよ!
でも、まーいいよ!
今日は無礼講さ!(←違う)
店長の奥さんが
「アタル君、ゴミまとめてくれる~?」
「ハイっす!」
外のゴミをまとめていると…。
「ゴメン…これも捨てていいかな?」
「ハイ!…あ…しゃっせー!」
恋敵の男客が来たか…。
ゴミをまとめながら、ヤツの動向をチェック!
またいつもの…コーヒーと弁当ですか…
レンさんはレジに一人か…
「いらっしゃいませー♡130円が一点。518円が一点。合計で648円になりまーす!」
「あ、ちょっと待ってね…吉沢さん。細かいのあるかも…。」
「ハイ。大丈夫ですよ…。え?名前…。」
「あ、プレート。ネームプレート。同じ名字なんだ。」
「え!?ホントですか?ええ、じゃぁ、吉沢さん…」
「あ、ちょうどある。…なに?」
「これ、クッキー焼いたんですけど、いつもお弁当ばかりみたいだから…。」
「ありがとう。」ニコ
「イエ…。」
「じゃぁ、いつもありがとう。」ニコ
「アリガトウゴザイマシタ」
え?
…ウソ…
オレだけじゃないんだ…。
そうなんだ…。
なぁんだ…てっきり…。
しょっぱいクッキーになりそうだな…。
こりゃぁ…。
ごみ処理が終わり、手を洗浄し、レンさんの隣に戻るオレ…。
「あのお客さんってさ…。吉沢さんっていうんだって…。」
「ソウナンダ」
「同じ名字!」
「ソウナンダ…。」
「うふふ。んふふ…。」
「よかったじゃん。」(←なにが?)
「ウン…。うふふ…。あ!いらっしゃいませーー!」
「いらっしゃいませーー!」
そして、就業時間。
やれ終わった…。
なんか、勝手にテンションあがったり、下がったりでめっちゃ疲れた…。
「アタル君!」
「ハイハイ。」
「今日も一緒に駅まで行こうよ!」
「マジすか!マジすか!全然OKっす!」
チャリをひっぱりだして、レンさんを待つ。
「じゃ行こっか!」
「ハイ!」
「なんか、お腹すかない?お店で肉まん買ってこればよかったかなぁ…。」
「あ!じゃぁ…二人で…レンさんのクッキー食べますか?」
「あら!うふふ。じゃぁお呼ばれしちゃおうかな?」
すげぇかわいい…
「カサカサ。あったあった。じゃ、どーぞ!」
「ポリ…。あ、おいしい…。」
「ホントだ!マジうめー!!レンさん、上手!こんなうめークッキー初めて食った!!最高!!」
「…あたしンじゃない…。」
「………………え?」
「これ…チョコ入ってる…。」
「あ!あ!あ!サオリのやつ…かな?しょ、しょーがーなーな!アイツ…。ゴメン!ゴメン!こっちだった!」
「あ~、サオリさんって昨日来た人?やっぱり彼女なんじゃん?うふふ…。」
「いえ!違います!違います!今日、たまたまもらっただけで…。」
「最高においしいとかって。うふふ。彼女さん料理上手ね。」
「違います!彼女じゃないし。オレ、舌どうかしちゃってる…。」
「うふふ。そんなに慌てなくてもいいのに~。アタル君面白い!じゃ、ここでね…。また明日。」
「ハイ。また明日…。」
クッソーーーーー!サオリィ!!
同じようなパッケージに入れてんじゃねーよ!
クソ!クソ!クソ!