第42話- 有触れ。-Cafeteria-
19日。
学園祭2日目。
11時21分、現在地は香春高校の体育館。
暗幕が張られ照明が落とされた館内は暗闇とがやがやというあの特有の人気があいまって心躍らせる。
入り口に『祇堂学園祭3日間ぶっ続けライブリレー』と書かれているここでのイベントはそのまま、学生バンドによるライブだ。
どうしても超能力ブースに対して見劣りしてしまうこういった普通のイベントだけど、音弦変調による制御が行われている分音は通常より比べ物にならないぐらい良い・・・らしい。
しかしまぁ、そんな事情は興味のない僕にってはイマイチどうすごいのかなど分からないんだよね。
持ち歩く音楽プレイヤーにはネットで違法ダウンロードしたモノばかりで、元より音質はそれほどよろしくないし。
そんな僕がこのイベントを見にきているのにはもちろん別の理由がある。
音楽自体への興味の有無は関係なく、問題はこの時間、ここにいることであって・・・、
「おっ、次みたいだ」
隣のクシロが呟く。
アナウンスされるとあるバンドの名前を確かに確認した。
紹介されてステージに入ってきたのは見知らぬ男女数名と、それから聡一君。
そう、彼のバンドなのだ。
それを聞いて、じゃあ見に行こうという流れでこうなって、今に至る。
人はこの行為を冷やかしと呼ぶ。
『不思議の国』の予約時間までの暇つぶしとも言う。
ステージではそれぞれが自分の楽器を設置を終えていた。
シン・・・と一瞬の静寂と楽器を調節する幾つかの音。
それが一通り終わって、ついに演奏が始まる。
――――♪、♪♪、♪〜♪♪
「―――― a ―― a ― I despaired of this world ――――」
『包帯少女の鎮魂歌』。
同名タイトルのネットゲームのBGMでありOPテーマ曲。今秋からアニメ化決定。
うん。
まぁ分かっていたことだけど。
「やっぱりアニソン関係か・・・」
好きだけどね、この曲。
その後も最近のアニメソングばかりを演奏し続ける彼ら『Turn To Bay』。訳して『開き直り』のメンバー達。
・・・・・・学園祭2日目が始まった。
/
蝉の声が絶えてしばらく、蒸し暑さが一気に抜けて肌寒さが吹き抜ける季節の到来が近づいてきた10月。
己が名の如く真っ青な空を見上げて、朝空風々は溜まっていた息を吐いた。
青いパーカー、そのポケットに両手を突っ込んで、所在なさげにあちらこちら視線を彷徨わせる。
元より目的のない徘徊なのだ。
中学中退後、日陰者である彼は普段幾つかの隠れ家に転住しつつ篭りっきりのことが多い。
ネットに上がる情報や仲間とのやり取りにかかりきりで外に出ることはほとんどない生活を送っているのだ。
しかし今日は学園祭。
警備の目が強化されども拡散され、なおかつ人脈を広げるチャンスである。
こういう一般人を含め多くの人間が入り乱れる行事というのは彼にとっては気分転換のいい機会でもある。
凝り固まった身体と精神を解すように、できるだけ筋肉と心を弛緩させてリラックスさせる。
ぼうっと眠たげな眼をスライドさせては、リンゴ飴を買ったりたこせんを買ったりフラフラと本人なりに羽目を外していた。
だからだろうか。
何時もならすぐさま危険察知に引っかかるソレに気づかなかったのは。
「あ、ふーさんだ」
その、不意打ちにびくりと、身体を震わす。
聞き覚えのある、けれど慣れないその呼び方。
そんな呼び名を使うのはこの世で2人しかいないからだ。
1人は普段人畜無害な変人だが切れるとヤバイ、怖いではなくとにかくヤバイ、可愛い顔した鬼っ子。
もう1人は腐れ縁の暴力幼馴染、美人を台無しにする男勝りな女大将の妹。
「・・・だよな。あの鬼っ子はここらにはいないはずだし」
振り返れば、リボンで長髪を何度か括った女の子が自分を指差している。
「ふーさん、久しぶり」
よし、逃げよう。
暴君ならともかく、純粋無垢なその妹に合わせる顔を持ち合わせていない。
というより、姉ほどではないとはいえ、好き好んで関わりたくなる人種じゃない。
反対側に走りだす。
しかし、
「あ、逃げるな!」
何故か、当然のように追ってくる。
どう考えても、再会を望まない拒絶の態度を取っているはずなのだが、そういった相手の事情を軽く無視するところが、姉に似ていると言えなくもない。
何にしても風々にとっては迷惑な話である。
「あーくそっ、何であれに出会うんだ!」
/
普通の中学生である飛騨真幸、つまり僕にとってB組は肩身の狭い場所である。
どう考えても場違いだ。
1人は希少な能力者で性転換者で薄幸美少女。
1人は今日び主人公として必須科目となっている女装スキルを身につけたお金持ち。
1人はもったいない姉を持つ、もったいない姉LOVE美少女。
1人は腹のどす黒いモノを笑顔で隠す社長令嬢。そしてそのお付に副委員長。
1人は生地だろうが肌だろうが針を刺すことが密かな趣味の口調不定。
1人はこんにち割りと多い、アクティブ開き直り系オタク。
1人は日常に真っ赤な刺激を与えてくれる徘徊する凶器。その的と鞘。
1人は生活にピンクの爆弾を押し売りするエロ担当。
そして最後に、目立たなすぎるが、中学から金髪に染めてくるという考えてみれば不良の有名無実。
その他、科、誉、僕。
決して、決して『1人は生活にピンクのモザイクを押し売りするエロ担当。その番』という表記は認めない。
クラスメートはやたらとその辺からかってくるのだが、それこその絵梨の思う壺だ。
気を緩めたら最後、更なる深みに嵌って、もっと状況が悪くなる。からかわれる材料をさらに増やすなんて愚の骨頂!
「あーあ゛ー」
・・・というのに、
「真幸・・・何よその呻き声は」
今日の自由行動、何故か絵梨と2人きり。
そりゃあ、別に予定があるわけでも約束があるわけでもないのだから、クラスの仲間や幼馴染と祭巡りをするのはおかしい話ではないけれど。
この状況、ただでさえそういう噂が流れている・・・流されている僕達では、デートをしているようではないか。
これも策略、か。
だとすれば僕はもう絵梨の罠にすっぽり嵌ってしまっていることになるわけで。
「あ゛あ゛――――!」
頭が痛い。
頭痛が!頭痛がっぁ!!
「変な葛藤してないでさっさといくよ、ほら」
手を引かれて連行される先には大抵うまい出店食の中でも群を抜いていると言われている香春高校のオープンカフェ。
雰囲気を壊さないようにちゃんとそれらしいテーブルを用意しているところが本格的だ。
しっかりと柵で区切られているので、オープンと言ってもテーブルの周りに混雑はなくゆったりとしている。
これで食べ物もうまいというのだがら、『昼食は香春のカフェが定番』と言われるのも頷ける。
涼しいこの頃、美味しく飲めるようになってきたホットのカフェラテを2人分とホットドッグにフランクフルトを頼んで絵梨が取っていたテーブルに戻る。
彼氏の奢りという恐ろしい理由により全てこっち持ちである。
ホットドック300円。フランクフルト150円。
むろんホットドックは絵梨のだ。少しは遠慮して欲しい・・・。
「あー俺何やってんだろう?」
「デートだよ」
「が――――!!」
「ちょっ、レディーに失礼な!?」
・・・今、幻聴が聞こえた気がする。
「レディー・・・?」
辺りを見渡すも淑女はいない。
「・・・それも失礼だよ」
「・・・あぁ、こんなだからモテないのか」
「貴様、目の前の可愛い女の子が見えないのかい?」
「可愛い女の子は見えない。エロ変態なら見える」
その台詞に、あろうことか絵梨は後を向いて人のいないことを確認しやがった。
何度かうんうんと頷く。
「それは思春期のエロ野郎にしか見えない類の妖精ね」
「だったらお前にも見えるよな!?はっきりと!くっきりと!」
「も?」
「・・・・・・」
うぉえあぉあ!
思いっきり失言だった。
駄目だ、話を逸らそう!
「だ、だいたい何つー会話だよ。エロエロエロ・・・て」
「真幸が悪いのよ」
「いや、お前にも罪あるよ?
そもそもお前が普通思春期男女がしない台詞を躊躇なく口走るから悪いんだ。
お陰で俺が変態扱いだぞ」
「そんなっ、私をこんな風にしたのは真幸なのにっ!」
大げさに身体を抱きしめる絵梨。そのあまりにもな白々しさに戦慄すら覚えてしまう。
「言ってる傍から・・・!
あー何時からだ?何時からこんな感じに・・・」
「幼馴染じゃない、それぐらい気づかないかなー?」
「気づいたらこうなってたよ。子供の頃はそうじゃなかったのは覚えてるけど・・・」
少なくても小学低学年の頃はまだまともだったはず。
「小5の夏からよ。キッカケは蒸し暑い夏のある夜・・・私は汗で張り付いた服を全部脱いでベッドに入ったわ・・・。そしたらたまた――――」
大急ぎで、テーブルに置いてあるホットドッグで絵梨の口を塞ぐ。
「ふがっ!ふあふぁあ、ああ!」
多分抗議の声だろう。
「うるせえ、そんな生々しい情報はいらねぇ。トラウマになる」
「えー、そういうトークが盛り上がる年頃じゃない?」
「最も遠のく年頃だと思うけどなぁ・・・というかそういうのは彼氏とやれ」
ぴくん、と何故か絵梨の眉が上がった。
口にまで持っていっていたホットドッグを紙皿に戻して、
「・・・はぁ・・・・・・」
深く溜め息を吐く。
今までの息つく間もないおふざけな雰囲気が一呼吸入れただけで、一変したような感覚だ。
「ふぅ・・・」
にやにやとした表情が無表情になった、気がした。
「ねぇ?」
とん、とほんの一瞬にずいっと顔が近づいてきて、驚きで身体が硬直する。
何がなんだか分からない。
「・・・真幸、どうして」
見据えてくる目が何かを訴えて、
台詞の続きを唇が紡いでいく。
「どうして分――――」
――ガシャン、ドシャッ、ズシャッ、カララ・・・
その言葉は遮られて、テーブルと共に珈琲と食べ物が床に転がった。
横を通り過ぎた誰かがぶつかったらしい。
「すまない!これ弁償代だ、悪いが急いでいるんで失礼!」
フードをかぶった怪しげな男が振り向きざまに、ポケットから取り出した20枚綴りの金券を僕らに投げ渡してくる。
相当急いでいるようだった。
何をそんな・・・と疑問に思うよりも早く、その理由がやってくる。
「ふーさん!何で逃げる!?」
「楚々!何で追ってくるんだ!」
『1−C みたらし団子 美味しいよ!』と書かれた旗を上段に構えて走ってくるもったいない妹。
旗に書かれた団子兄弟のイラストがミスマッチすぎる。
「久しぶりに話そう!ふーさん!」
「手に得物を持った奴が何言ってやがる!」
「話を聞かない奴はとりあえず殴って黙らせろって姉様が!」
「あの暴君め!なんて教育を!!」
再び進行方向に向き直った追われている身らしき彼は、最後に、
「そこのカップル!キスの邪魔して悪かった!」
そう言って走り去っていく。
もちろん楚々絽もそれを追って行ってしまった。
こういうのを嵐が過ぎ去った様、と表現するのだろう。
僕が呆然としている間にテーブルを立て直していた絵梨は、何時の間にかいつもの表情に戻っていた。
「あはは、カップルだってさ。こうしてる内にどんどん誤解されちゃうねぇ・・・」
/
殊樹高校の体育館、体育館は体育館でも香春の体育館で見た玄関口とは、心持でか違って見える。
香春の方が異界の扉ならこっちは兎穴。
アリスは兎を追って穴に身を投じたけれど、僕達は受付のバニー嬢に案内されて中に入る。
顔立ちからするとたぶん女子高生。そんな際どい服を着て大丈夫なのだろうか?
イベント名をあやかった不思議の国の冒険を尊敬しているのか侮蔑しているのか判断しかねる格好だ。
まぁ、僕とクシロだって随分ファンシーな衣装をしているけれども。
僕は黒なので全く違うけれども、薄色のクシロは不思議の国に迷い込む資格が十分あるだろう。
中に入ると体育館の中は入学式や卒業式のようにパイプ椅子が並べてあるのが見て取れた。
「こちらから順に座ってください」
言われたとおりに座って、入り口で貰ったパンフレットを開く。
パンフレットには簡単な注意事項や前年の経験談などが書かれていて、裏側には責任者の名前が表記されている。
パンフのマスコットらしい白兎が噴出して説明しているのを見て何故か安心してしまう自分。最近どこにでもいなっちーがいるからなぁ。
さて、殊樹高校名物『不思議の国』。
昔当校にいた特殊能力者、幻想現実が始めて、卒業してからもこの行事のためだけに彼を召集してイベントを続けている。
同様の能力者はいても、彼ほど卓越した技能を持てた者はいないからというのがその理由だ。
このイベント自体は仮想現実を超能力でやっていると表現できるけれど、大人数に同時に施行するという点で現実問題彼以外ではこなせない。
そもそも彼の幻想現実は仮想現実という無骨な名前が嫌だったという子供染みた理由でつけられたような名称ではない。
僕のデータバンクにもこの能力に関しては記述があるのだが、形骸変容と同じく情報封鎖されていてもおかしくはないぐらいヤバ目の能力なのだ。
曰く、幻想現実の純粋な能力は異世界創生である。現実世界とはズレた世界を創りだす超越能力。
いくら珍しい能力を扱っている殊樹高でもそうそう代わりがいるわけがない。
それが板川由。
古の家系である板川の現当主。
所在地は当然不明で、ズレた世界でハーレムを作っているのだともっぱらの噂・・・と越嫁先輩の談。
つまり、倉光、カイナに続き数多いる変人シリーズに名を連ねることになるだろう類の人物だ。
「実力者になればなるほど変人度合いが高くなるんだよねぇ・・・」
「ん?何?」
「いや、独り言」
首を傾げるクシロに手をひらひら振る。
『えー、皆さん、お待たせしました。
予定人数の導引を確認できましたのでこれより不思議の国へとご案内します』
待ちに待ったアナウンスにざわめく入場者達。
かく言う僕達もその中の1・・・2人なわけで、心内はSPS薬を飲んだ時ぐらいの興奮がある。
形骸変容よりもこういう能力の方がよかったなぁと今でも思う。
『転寝した時と同じで力が抜けて手から滑り落ちる可能性がありますので、お持ちの鞄などは椅子の下に置いて、手には何も持っていない状態にしてください。
・・・・・・さて、それでは皆さん、目を閉じて、リラックスして・・・・・・では、いーち、にーい、さーん・・・』
数えられる数字が増える毎に、アナウンスの声が遠のいていく。
まだ明るみのあった暗闇が寝起き、意識が薄れている時の海底に似た闇色を帯びる。
ふぅ・・・と息が唇を抜けていった途端、ぐらりと足元が崩れるのを感じた。
暗闇の中の自由落下だ。
限りない穴倉を延々落ちていく感覚。
不思議の国はその底にある。
/
本来の用途で使い切られることなく凶器にされた『1−C みたらし団子 美味しいよ!』の旗は柄の部分も含めて粉々に切り刻まれ、楚々絽の能力応用によって視界を失った風々が煉瓦をのた打ち回り、それに足を引っ掛けた楚々絽が同じく煉瓦に身体を叩き打ち付けられるという一連の流れを終えたところで、ついに観念した風々と粘り勝ちした楚々絽は座れる喫茶店を探してテーブルについていた。
ただでさえボロかったパーカーがさらに酷い状態になったのを気にしながら彼は運ばれてきた抹茶ケーキにフォークを入れる。
「あーくそ、乱暴なことしやがって。鈴からそんなところを学ぶなよ」
「姉様は間違ったことは言わないからな」
「あぁ、あぁあぁ、そうだとも、『暴力は言葉に勝る交渉術だ』・・・正しすぎて涙が出る。
話し合いなんぞ価値観の違えた者同士では絶対不可能、分かり合えるわけがない。そこにあるのは拒絶。だからこそ宗教戦争は血戦になったんだからな。
しかしまぁ、正しさで人は救えないということはアレだって分かってるだろうに」
一口サイズに切った欠片を口に含んで舌で転がす。
対する楚々絽はチーズケーキを指したフォークで豪快にパクついていた。
とんでもない食べ方だと彼は呆れる。
「ははは、でも、そもそも"暴力"はあの人の代名詞だし。姉様は慕ってたからねぇ・・・ふーさんは違うのかい?」
「あの人、あの人あの人ねぇ・・・俺には色んな意味で強すぎたさ、あの輝きは。失明しかねないほどに」
「実際、顔面を殴られて失明しかけたことあったしね」
けらけら笑う彼女。
既にチーズケーキはなくなって、次のチョコレートケーキにフォークを突き刺している。
味わって食えという台詞を飲み込んで、風々は失明しかけた件を含む彼女と共有する昔話を掘り起こす。
「あれはむしろ後頭部を打ち付けたのがヤバかったんだ」
「5階から投身させられたこともあったねぇ・・・」
「無傷だったのが奇跡だよな・・・。あとは沸騰したお湯かけられたり」
「調理中に怒らせるからだ」
「コップの底で撲殺されかけたり」
「あの人の相棒だから、あれ」
「セラミック製の特注コップなんて凶器にするなよな・・・。
だいたいどう考えても嵩張るから携帯に向かない」
「マイカップにもなるって言ってたじゃないか」
「血のりのべったりついたコップで液体をすすれる図太い精神を持ってればの話だ、それは」
リアルにその時の記憶を思い出してしまい、なおかつ自分が今珈琲で満たされた紙コップを持っていることに気づいてしまった彼は無言でコップをテーブルの脇に追いやった。
そんな彼とは裏腹に彼女の方は懐かしむように、コップに口をつけてカプチーノをすすっている。
風々はげんなりとその様子を眺めて、こいつも図太かったなと記憶の中の彼女と現在の彼女とを照らし合わした。
「・・・あの人、どうしてるかな?」
「さぁ?」
「行方晦ましてから数年かぁ・・・感慨深いね」
「そうか?」
むしろ怪我が少なくなって健康的になったというのが彼の素直な意見である。
「冷たいな。散々お世話になったのに」
「そうだな、散々殺されかけたよな。あの人とお前の姉に」
「あぁ、そういえば、姉様が夜露死苦言っといてって。もちろん漢字の方の『夜露死苦』で」
「・・・・・・ゴメン被る」
「はぁ・・・でもホントあの人どうしてるのか・・・」
「んー、まぁ、予想はできるだろ」
「あーまぁ・・・まぁねぇ。あの人のことだから・・・」
「頼みもしないのに勝手に首を突っ込んで・・・勝手にブチ切れて・・・」
「そうそう・・・で」
「「誰かをぶん殴ってる」」
声が揃って、片方は笑い、もう片方は溜め息を吐いた。