第17話- 待機班。-Rest-
地上からマンション37階分も昇ろうものなら、エレベーターの中で耳が痛くなるに決まってる。
ただでさえ人間という生物はそれほど高くもない樹上から地上に降りたような動物なのだ。今更上を目指してどうするのか。
などと考えながら足を動かし、メールに送られてきた住所と手製ナビ通りの目的地に僕はつい今しがた到着した。
というか何なんだろう、このやたら豪華なフロアは。
廊下ってこんな綺麗に飾り立てるものだったか?ワンフロアに4つしか号室のないような建物にエレベーターが5台もいるものなのか?
日頃使う使う人間が最多4世帯の共用通路の床がどうして大理石なんだとか、ワンフロア毎に広場がある意味はないだろうとか・・・・・・考えても仕方ないのだろう。
朽網め、なんてところに住んでいるんだ。
とにかく、インターホンを鳴らす。
『はぁーい。どちら様ですかぁーい』
この声は細川だろう。先にリタイアしていたらしい。
くそぅ。僕は葉月に見つからなければもう少し生き延びれただろうに!
「僕だ。矢崎聡一、開けてくれ」
数秒後、ピピピッと電子音がインターホンのスピーカーから流れた。
『開いたよん』
・・・電子開錠かよ。
というか今気がついたがインターホンの上にカメラらしき物がついている。明らかに画面付きのインターホンだ。
『どちら様』じゃねぇ。見えてたろうが完全に。
文句ばかり言っても仕方ないので中に入る。
鍵穴が3つ付いている重いドアを開けると、予想に反して質素な玄関が現れた。
ひたすら白い壁、ワックスの塗られた木のフローリング。そのどこにも装飾が見られない。マンションの外装と随分違う。
視線を下に落とすと結構な数の靴が並べられていた。
1‐B待機組に加え、退場組の皆だ。
錯乱して解散した後、既にこれだけやられているとは。
「おーい、こっちだぜー」
細川が廊下の角から顔をひょっこり出して手招きしている。
ついていくとどうもにぎわっているらしく声が大きくなってきた。
体育祭の打ち上げを早めにやっているようなものなのかもしれない。競技が終わった後もどうせ騒ぐのにな。
着いたのは1つの形容しがたい部屋だった。モニタールーム・・・とでも言えばいいのだろうか?
とにかく画面が壁中に鉄枠に固定されて並べられているのだ。
正直、常人の理解を超えている場所だ。そもそもこんなにモニターを並べてどうするつもりなのだろう。
絶対使い道がない。まだホームシアターの方がマシだ。
この部屋は趣味でもありえないだろ。
あれか、どこぞの施設出身の天才少年みたいに危ないノートを持った人間でもあぶり出すのか。
ああ、そういえば残念ながら施設出身の設定は織神に取られてるな。
「よぉー、早かったなぁー!」
飛騨がジュースの入っているらしい紙コップをこっちに突き出して声をかけてきた。
挨拶のポーズとしての動作で僕に渡そうというものではない。
「ここにいる時点でお前の方が先にやられてるだろうよ」
言い返してやると、肩をすくめてみせた。
「残念ながら俺はお前のように隠れてなかったからな」
ほう、それは僕に喧嘩を売ってるのか?僕の能力はそもそも隠れて使うようなものなんだよ。
「いやいや、情けないこと言ってたのは真幸だろう?」
朽網がにやにやしながら言う。
待機組の朽網釧様は全てをちゃんと見てくれているらしい。
「だろ?僕は僕なりに善処したさ。運が決定的になかっただけだ。・・・・・・なんでわざわざロッカーで休もうなどと思うかな織神は」
どう考えてもツいていない。どうも疲れが見え始めたらしい織神に場所を譲るために僕はリタイアしたようなものだ。
「後残ってるのはどうも葉月ちゃんと隆君、絵梨に楚々絽だけね」
委員長が紙コップを渡してくれた。
今ふと思ったが、この高級マンションで紙コップというのはシュールだな。1人暮らしなので食器が少ないのかもしれない。
コップの中は透明な液体。むむ、これは白葡萄と見た。
「今はどんな状況?」
「んー、葉月は依然睡眠中っぽい。隆と絵梨は裏切った楚々絽から逃亡中」
・・・・・・そうか若内が裏切ったか。彼女は状況に応じてばっさり切り捨てるタイプだとは思ってはいたが。
となると1‐Bは完全崩壊となったわけだ。
改めてモニターを見てみると、どれもこれもまったく違う映像を映し出している。
ネット上に上げられているライブ映像をそれぞれ割り当てているようだ。
何せ祇堂学園全体でやっている巨大対戦だ。放たれた徊視子蜘蛛も相当な数になる。映像も当然その数だけあるのだから、情報の多さは尋常ではない。映像だけでなく生徒の分布マップなども出ているのだから実際はさらに数があるはずだ。
それらから僕らが欲しい情報、つまり1‐Bメンバーの映っているものを選り出しているのは朽網だ。
何やらポチポチとキーボードを叩いている。
「で、皆はどういう風にリタイアしたんだよ?」
「朝風と深柄と布衣菜に細川、あと飛騨は葉月に、長谷川は若内にやられて、その他は錯乱して飛び出したところを他の生徒にやられた感じだな」
「その他ってあたしと海だけじゃない・・・・・・説明省くほど人数ないでしょ」
「香魚は葉月ちゃんが起こした騒ぎで廊下に出てきた生徒と鉢合わせて、海は何もないのに前のめりに転んで棚ぼた的に襲われたんだよ」
もう1人の待機組である斬刀水圧波風が補足説明してくれた。
うーん。どうも僕らが1‐Bはほとんどが織神にやられたようなものらしい。
その他扱いに不満な瀬川に朽網が葉月に直接やられてないだけマシだと力説している。
「そんなにひどかったのか?」
問いかけると、朽網は何とも表現しづらい表情をして、端の何も映っていなかったモニターを指差した。
皆の視線が集まったところで、朽網がパソコンを操作する。モニターが起動して映像が流れる。
――――天井に張り付いた織神の髪が触手のように開き、生徒達を捕食していた。
「とまぁ、これが今のところ一番ショッキングな映像のわけなんだが」
朽網が遠い目をして言った。
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「つーわけで、第何回?織神葉月を女の子っぽくしよう会議を始めたいと思います」
モニタールームに急遽用意された折りたたみ式のミニテーブル3つ。その上には紙コップと2リットルのペットボトル数本、お菓子がいくつか乗っている。
葉月が女になった頃は頻繁にやっていた会議なのだが、最近はやっていなかった。
もう大丈夫かな、などと思っていたのに残念ながらまだ続ける必要がありそうだ。・・・まるで病気の再発みたいな言い草だな。
あと、会議のタイトルは『女の子っぽく』というより『人間っぽく』というのが正しいと思う。
あの挙動がどうみても人間のものじゃない。切実に普通に振舞ってほしい。
「最近はちゃんとスカートを着こなしてるし馴染んできたと思ったのにねー」
と九鈴。チョコクッキーを頬張っている。
「状況に応じてスタイルを変えてるのよ。私達が女の子っぽくって言うものだからそうしてたのかもね」
「周りに合わせて、ね。擬態みたいに?」
「それ人間にする表現じゃないぞ・・・。葉月の場合、中身がどうなってるか分からない感じがするんだよな」
朝風、布衣菜、海がそれぞれの意見を口にした。
聡一がうぅぅむと唸る。
「人の中身なんて元々分からんもんだろ?」
「あーいやいや、そう意味じゃなくって・・・なんて言えばいいのかな?
ほら、どんなに多様な人がいても人間としての枠ってあるじゃん?道徳とか倫理とか・・・人としての尊厳とか?そういうの葉月はあんまり気にしてない気がする」
人の親友を非人間的と言うのはやめて欲しい。
「ああー!そうか、それだ!」
ぽんと手を叩く瀬川。
それだ、じゃない。納得するな。色々と本人に失礼だ。
「そういえばさ、性別変わったのに全く気にしてなかったもんね。普通はそうもいかないんだよね?」
「自分が男か女かっていうのは重要なパーソナリティーだからな。性自認がある人間は性別が変わったら間違いなく錯乱するぞ。
よくある性転換の創作物の話は本来ありえないからな。同性だと認識していた性別の人間と恋愛っつー前に、自分の認識している性と体の性が合ってない時点でそれどころじゃないんだ。『自分が自分でない』という認識に押しつぶされて最悪自殺したりもしかねない」
すらすらと聡一が補足的説明を加える。おそらく調べたことがあるんだろうな・・・。創作物好きらしい行動だ。
「逆にあそこまでケロリとしていられるのはおかしい・・・と」
「あるとしたらそもそも織神が性自認が女の場合だけど、それはないって荷稲さん言ってたしな」
「あんまり自分に思い入れがないのかなぁ・・・・・・」
「男であることにも人であることにも執着ないのかしら」
皆真剣に考えてくれているのだろうけど、何か釈然としない。
ああ、そうか。俺としては葉月が普通であってほしいからか。
傍目これだと先が思いやられるものな。
「これって難しい話だよな。女の子っぽく作戦は事実上失敗だし、それ以上にってなぁ・・・」
「どの道もっと自分を意識させたらいいんだろうけどね。厄介な話に発展したわ・・・本来の目的と変わっちゃってるし」
「せっかくの非日常的イベントを楽しもうって会だったのになー。そだ、釧君よ。君はどうなんだい?葉月ちゃんに惚れないの?」
・・・・・・、・・・・・・は?
何を言ってくれやがるんだ、細川美樹さんよ。
「だってさぁー、あれだけカワイー子が近くにいるんだぜー?手を出さない方がおかしいね!」
何でこの人は時々オヤジになるんだろう?
というか、だ。親友としてそういう目で見るのが嫌なんだよ。
「昔からの付き合いだからあんまり意識しないんだ。大切なのは変わりないけども」
「貴方達が恋仲になったら万事解決よ」
委員長である朝風までもがそんなことを言う。テーブルに頬杖をついて、どうもだるんとしている。
・・・もしかしてさじ投げた?
「俺達よりお前ががんばる方が効率的だ。がんばれ」
ぽんぽんと肩を叩いてくる聡一。
待て、思うんだがそれが一番難しい方法じゃないだろうか?というか、俺が大変だよな。俺だけが大変だよな。
そもそも異質に見える葉月を女になった機会に変えようというのが目的だったのに、話がすり変えられている気がする。
葉月のことは好きだが、それは同性同士の"好き"に近い。
その認識を変えるのは難しいだろう。
「問題があたし達には難しすぎるんだよねー。あんまり対処法が思いつかないし」
「まぁ行く末がどうなるかすごく気になるけど、大丈夫なんじゃない?釧君がちゃんと手綱握ってれば」
やっぱりさじ投げてるよな委員長様は。
俺にそれができると思っているのだろうか?過大評価すぎだ。葉月の暴走ぶりを舐めるなよ。
「その話は置いとこう。もっと現実的に俺らのできることを挙げてこうぜ」
「服装とかもう大丈夫よね。買った下着もちゃんと着てるみたいだし。あ、そういえば葉月ちゃんのジャージってまだ青のままなのよね」
「あー別にいいんじゃない?男女で違うの色だけだし。ボロになった時に変えればさ」
「言葉遣いは?男っぽくもないけど、女っぽくもないんじゃないか?」
「一人称は『僕』で、語尾は・・・普通だよな」
「でも『ですわ』とかそういうの最近じゃ女子も使わないよ」
「だよな。問題はもうちょっと女子的イベントに参加させることじゃないか」
「って言ってもねぇ・・・一応女子グループに入れようって動きはやってるよ?」
「いや、というかさ、そもそも私達の学校ってクラス内でグループ分かれるほど人数いないからね」
「15人ほどだしな・・・B組はそれでも女子が多い方だけど。
こうやって皆で集まってる時点で男女ですら分かれてないもんな」
仲いいことはいいことだぜーと細川が言って、皆それぞれの反応をする。
確かに俺の悩みに対してこうして話し合ってくれているのだから、彼らは人がいい。
いいクラスメートを持ったとは思う。・・・同時に個性の強いクラスメートを持ってしまったとも思うけど。
「女同士でどっか行ったりってしないのか?」
「うーん、やりたいとは思うんだけど、クラブと特にグループの活動があるでしょ?放課後って結構忙しいからそういうの難しいのよね」
「土日はー葉月ちゃんバイト入ったりーだし。バイトっていきなり入るものなのー?」
「いや、一応週でスケジュール決まってるはずだけどね。葉月のバイトって人手が足りないんでよく呼び出されるらしい」
定期考査の結果に従い小遣いが止められて、葉月に同じバイト先を紹介された隆による情報だ。
そういえばバイトでの葉月はどんな感じなのだろうか?そっちで何とか打開策が見つかれば万々歳なのだが。
「蕎麦屋だっけ?今度行って見ようかなぁ。接待やってるんだよね」
「ウェイトレス姿の葉月ちゃんはー見てみたいけどねー」
「あ、そうだ!学園祭!ちょうどいいイベントじゃん!」
「メイド喫茶でもやろうってか?飛騨よ、残念ながらな1年は観覧だけだ」
「あーそっか。結構いいアイディアだと思ったのにね・・・・・・。
あれ?というかもう夏休み始まるんじゃない?」
「あぁー、忘れてた。体育祭終わったらそのまま夏休みじゃない!皆でどこか行けないかしら?」
「長期休暇となれば空きぐらいできるよね。夜に花火とかやるのはどう?」
それは楽しそうな話なのだが、
「男女混同で行くと"女子的イベント"やらにならないんじゃないか?」
「確かに・・・・・・ならさ、夕方まで男女別行動して合流すればどうだ?」
「聡一君ナイス!それでいこうよ。一石二鳥♪」
布衣菜がメモ用紙を取り出して、『夏休み花火大会』と書いた。それを切り取ってテーブルに乗せる。
「でもなー。学園祭はもったいないよな、割といいチャンスだと思ったんだが」
「いやいやいや、バイトと変わらないんじゃない?服装が派手になるだけでしょ?というか趣向が違う気がする」
「んー、要するに自分にもう少し意識を向けさせればいいんだろう?見られる快感に目覚めれば――ふぐぉ!」
聡一は両隣と向かい側から叩かれた。時間差で俺も一撃加える。
「痛いな・・・真剣に言ったのに・・・・・・」
「何か貴方が言うと危ないのよね」
朝風が言い捨てた。
/
西谷がリタイアした。
若内が身近なところからと彼らクラスメートを執拗に追いかけ、逃げられては追い詰めるという繰り返しの後、ついに1人を捕まえることに成功したのだ。
能力関係なく運動神経のよい若内はあっさり西谷のペンダントを毟り取り終え、既に次のターゲットを四十万に定めている。
「俺は若内に5口賭ける」
朽網が新しくどこかから持ってきたジェリービーンズを大皿に移しながら言った。
何かというと1口200円の賭け勝負だ。四十万か若内かどっちが勝つかというのをここにいる皆で賭けている。
織神を入れると賭けが成立しないので、残った2人だけでやっているわけだが、それでも若内が人気だ。
「僕も若内に2口な」
盛られたビーンズを早々に口に放り込む。
うん、懐かしい味。これって外国のと日本のとで味が全く違う気がするんだよな。日本人の味覚に合わせて変えてあるのだろうか?やはり日本の物の方がおいしい。
一通り賭ける相手と口数が決まったらしく、布衣菜がさきほどのとは違うメモ用紙をテーブルの上に加えた。
「圧倒的にわかっちが多いよねー」
「隆はここぞというところで、勝負弱そうだからなぁ」
「まぁ、でもその代わり勝ったら配分大きいしー。私にはうれしいねぇ」
何か確信があるのか、自信満々に四十万に10口賭けた細川がにぃっと口を歪める。
と、そこでインターホンがなった。
おそらく西谷だろう。
僕の時と同じように細川が立って、とたとたと玄関の方へと消えていく。
ぼやけた声が何行分か聞こえてきた後、細川が西谷を連れて来た。
「ほーい、皆さんお久しぶりで」
「結局ほとんど全滅状態だよね、うちのクラス」
そぞろんやっぱえげつないわー、とぼやきながら西谷はテーブルの空きスペースに滑り込む。
「で、何の話してるの?」
「んー、葉月ちゃん以外の生き残り2人でどっちが勝つか賭けてるんだけどね。1口200円で」
「じゃあ私はしじまんに5口だね」
即答。何だろう?細川と西谷の間には共通の有力情報でもあるのだろうか?
「他には?ずっとお菓子とジュースお供にしてしゃべってたの?」
「あー、織神を人間界にどう戻そうかという話をしてた」
ちなみに現在あいつがいるのは魔界というのが僕の勝手なイメージだ。
「ほほぅ。そんなもの、くしろんに惚れさせれば万事解決じゃねぇですかね?」
ほらみろ。僕達の話を聞いてなかった西谷でさえ同じ結論に達したじゃないか。
朽網の方に目をやると、本日2度目の精神攻撃に頭を抱えていた。
「だいたいどこが気に入らないっていうんだ。朽網よ、外見は申し分ないし、何よりあれだけ懐かれておいて・・・・・・」
朽網がどうもはっきりした態度を示さないので問い詰めてみた。
「外見がいいって言うけどな葉月は形骸変容なわけで・・・。そこはあんまり関係ないだろう?」
「あれだけ懐かれておいて・・・」
畳み掛ける。重要なのはこの点に尽きる。
「懐かれてると逆に距離感が難しいものなんだけどな・・・・・・」
あ、懐かれてるのは認めたか。
そのたった一言を口から捻り出すために、随分顔を赤くしている。
それを隠すためにコップを口に持っていっていく辺りが生々しい。
そこに、
「ふぅーん?懐かれてる?またまたぁ〜、同じ屋根の下で一晩過ごせるくらい仲いいのに?」
西谷が爆弾を投下する。いやらしい笑顔がチャーミング・・・・・・とでも言えば聞こえがいいのか悪いのか。
衝撃の情報を同空間で共有したクラスメート達は固まっている。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・何?」
思わず僕も聞き返してしまった。
――ゴパッハァ・・・ゲホゲホゲホゲホッケ・・ホ・・・・・ッェホ、ケホ・・・ォエ・・・ウぇ・・・・・・
朽網は盛大に咽た。咽方がひどい。真面目にやばい量のジュースが気管支に入ったらしい。
「西谷それもっと詳しく」
「しじまんに聞いたんだけどね。はづきんとくしろんの家って遠いでしょ?だから夜遅くなった時そのまま泊まれるようにってはづきんの部屋があるとか」
「ちょっと待った!」
咳き込みの呪いから開放された朽網が弁解する。
「葉月の部屋はあいつがアパート暮らししだした頃からあるから!小6辺りからの習慣!」
「この前の定期考査の時、勉強会と称して泊まっていったってしじまんが」
「ということは女になった後も泊まってるわけだよな。・・・・・・さすがにまずいだろ」
「部屋には鍵付いてるって!最近わざわざつけたんだよ!」
「そもそもはづきんが鍵閉めるとも思えないけどね」
「・・・・・・・」
ついに無言になってしまう朽網。
心配しなくても僕達はお前がヘタレだと知っているから安心しろ。
例え同室で一晩過ごすことになってもお前には手は出せないさ。
「というわけで朽網があんな感じなので、議論はストップしてるわけだ」
「ふむふむ。まぁ、じゃあ仕方ないんじゃない?応急措置で我慢するしか」
「応急措置・・・?」
西谷はにやりと笑った。