第3章幕間 『この気持ち』
すみません超絶短いです。
アイツがリーリスの屋敷に行ってから2日目の朝、私は美歩佳と一緒に朝食を取っていた。
栄養バランスを綺麗に整えられた食事の味はなんだか味気が無く、素直にも美味しいとは言えず沈黙が続く、食堂はこんなにも寂しいものだったの? もっと騒がしい感じだった気がする、チラチラと美歩佳が見てきているのはわかっているし、他のメイド達も何か話し掛けようと話題探しをしているのもわかっている。
この食堂はいつもアイツの話し声で賑やかだった、何かとばかをするアイツをメイド長が叱ったり笑ったりで騒がしいはずなのに、今はそんな空気すら微塵もない。
たった3日間居ないだけで何を暗くしているのって? たった3日間でもそこに居た人が突然居なくなればこんな空気にもなる、戻ってくるのもわかっているのにこんなにも寂しい気持ちになるだなんて、私は翔に少し依存しかけているのだろうか。
昔の私ならそんなことには絶対にならなかった、でもアイツがこの屋敷に来てから全てが変わってしまった気がする、美歩佳とはあまり屋敷で仲良くしていなかったし、男自体好きではなかったし、一度決めた事は決して曲げなかった私が今はどうだろう。
気がつけばアイツに何かを託したり任せたりで甘えているような気がする、少し前までならこんな気持ちは『一時的』なもので終わらせていたのに、今は胸がキュッと締め付けられてる気分になる。
いくらなんでもおかしい、恋愛漫画でもかなりの時間を掛けて恋に落ちていくのに私は早い段階で彼に対して何かを抱いている、あのクリスマスの夜くらいからだろうか、アイツが屋敷を出たすぐにもう一度執事をやれと告げたあの日。
別にあのまま本当にクビにすればよかったのに、私は翔を呼び戻してしまった、どうして呼び戻したのか、どうしてあんな奴をまた執事にしたかったのか。
恐らくその呼び戻す時点で私はアイツを、翔の事を意識していたんだ、まだそこまではいい、そこからパーティーの時に翔の家庭事情を本格的に知った時私はどこかで、『こいつを1人にしたくない、離しちゃいけない』って呟いてた、万緒歌さんの会社に行った時に翔が本気になって怒っていたあの顔は今でも忘れられない、何故? アイツの気持ちが本物だったから、だから私は信用していいんだって思ってた。
そして、翔がリーリスの屋敷に行くと言ったあの日私は反対した、離したくないって思ってた時にそんな事を吐いたんだもの、絶対に行かせたくないって、他の女の子に渡したくないって強く心で叫んでた、アイツは優しいからすぐに困ってる人がいれば助けてしまう。
今も翔はリーリスの為に色々と動いてる、私はそれに嫉妬してる、私はアイツの主人のはずなのにその主人を置いて何をしてるの? 3日間だけって言ったのは建前で本当なら今すぐに連れ戻したいのに、でもそれは翔との約束を破ることになってしまう、アイツは破りまくってたけどそれは誰かを助ける為であって、私の場合はただの『わがまま』だもの。
主人は執事に甘えちゃいけないの? 助けてもらっちゃいけないの? 私は翔の事を好きになっちゃったのに、それを伝えられない。
だって私達はまるで身分が違う、好きになったきっかけはなんであれなってしまったものは仕方が無いじゃない、どんな風に周りから言われても私はこの気持ちをどうにか伝えたい、翔以外にこんな気持ちになったのは初めてだから。
また翔のバイクの後ろに乗ってどこかへ行きたい、連れて行ってほしい、アイツの顔が見たい、声が聞きたい。
恋って突然現れるものなの? 初めてだから何一つわからない、リーリスと仲良くして欲しくないってずっと思ってる、そんな事は無視すればいいのに、でもこれを翔に言えばきっと怒るから言えない。
早く帰ってこないのかな、帰ってきたら絶対にこの気持ちを翔にぶつけるんだ、何もかも初めてだから何から話せばいいのか分からないけれど、絶対に伝えたい。
「美歩佳」
「は、はい」
「私ね、ううん、何でもないわ」
「はい?」
今は言えないけど、必ず告白したら美歩佳やマリアにも教えたい、翔の恋人になったって、伝えたい。
遅くなりすみません、仕事が多忙になりはじめたのと、筆の進みが悪くなってこのタイミングになりました。
次の章で最後となります、どうか最後までお付き合い頂けたらと思います。




