これから
朝飯を食べ終え、各々学校へ行く準備をしてると藍が俺の部屋の扉を叩いた。
「兄さん、はやくはやくー!」
「お前…準備早えーよ…」
そうぼやきながらスクールバッグを掴み取り先に1階へ降りてしまった妹を追いかける。
俺が階段を降り終えた時には玄関に藍と母さんがいた。
「いってらっしゃい♪今日もしっかり勉強しなさいよ?」
「はーい!」
「うへぇ、、」
藍と俺は返事をしつつ扉を開け外に出た。
天気は今日も曇り。最近はずっと曇っているからそろそろ晴れて欲しいものである。
「ふふ、久しぶりに兄さんと登校してる…♪」
藍が鼻歌を混じえつつ上機嫌でそう言った。
「まぁ…藍はすぐそこだけどな」
藍は中学3年生になったばかり、俺はこの春高校に入学して1ヶ月と言った所だ。
「所で兄さん…しっかり友達作ってる?寂しくない?」
「当たり前だろ…友達はしっかり作ってるし…まぁ楽しい。」
「ふふ、そっか♪」
そう言うと安心したように藍は微笑んだ。
流石に1ヶ月過ぎて友達作れてなかったら今頃登校拒否しちゃうよ俺…。
「じゃ、頑張ってね兄さんっ」
いつの間にか藍の通う中学校の近くまで来ていたらしく藍は校門に向かって駆け出した。
「おう、お前もなー」
後ろを向いているため見えていないだろうが俺は手を振って送ることにした。てかなんで校門前通るのにこんな所から走り出したの…あぁ、流石にお兄ちゃんと学校に行くのは恥ずかしいのね。なんだ、なんか妹の成長を目の当たりにしちゃってお兄ちゃん寂しい。
しばらくして駅に着き、眠たげにホームで電車を待っていると
「よ!照!」
そう言って肩を叩いてきた奴がいた。
「おお、航太おはよ。」
五十嵐航太。俺と同じ高校へ行っている数少ない元中学校の友達だ。
「あぁ、てゆうかお前…今朝藍ちゃんと途中まで来てただろ!このシスコンめ!うらやましい!」
「ストーカーかよ!?気持ち悪…」
というかなんつった最後…。
「シスコンじゃねーし、今日はたまたまだ。お前だって藍と話したいなら声かけてくれればよかったのに……。」
「む、無理無理!俺には高嶺の花だわ!くそー、俺も藍ちゃんみたいな妹がほしい!!」
……うわぁ…、要するに可愛い妹が欲しいだけでしたかなるほど。
「てゆーか、今日なんか行事なかったっけ……」
ふと俺は思い出したように航太に聞いてみる。
「あぁ、そういえば今日から部活の見学と仮入部期間だったな」
「部活……か、」
「ん?照はなんか部活入るの?」
「あぁ、、どうしようか悩んでる」
とは言ったものの、正直入りたくない。中学校の頃俺は部長をやった。そこまでは良かった。しかしいざ上の立場になると分かるのだ。どれだけ石のような部員を動かすのが大変で面倒なのかを。
だからあまり部活というものに良い思いがしないのである。
「ふーん、俺はちょっと気になってる部活があるんだよね」
航太がニヤニヤしながら楽しげに話してくる。
「なんだよ…あぁ、なんか察した。言わないで良いぞ」
「酷い!?言わせろよ!?」
はぁ…なんか大体わかるんだよなぁこいつの性格からして…
「わかったわかった、で?何部だよ……」
「よくぞ聞いてくれた。ズバリ弓道部だ!何でかって言うと、1個上の先輩で超美人な人がいるんだよ!行くしかないよな!よし行こう!」
……話進めんのはえーよ。ていうか完全に俺に拒否権ないんですね…。
まぁ、良いか。弓道部か…なかなか見たことない部活だし、気分転換がてら付いていこう。べ、別に超美人な先輩が気になるわけではない。ないからな。
*続く




