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夏生詩集2

やわらかいほっぺ

作者: 夏生

やわらかいほっぺ

いつまでさわらせてくれる?

いつまでほっぺを私の頬に

合せてくれる?


やわらかいほっぺに

いつかはごま塩みたいな

毛が生えて

その前に赤いポッチが

できるかしら


昨日まで私の太ももの位置から

まっすぐなつむじが見えたのに

今日は私の腰辺りから

まっすぐなつむじが見える


買ってひと月も経たないズボン

膝に穴あいて、細い足首ツンツルテン


かかとすり減った靴

電車の顔をした君のお気に入りは

もう勘弁してくださいと泣いていた

新しい靴は黒と金色の

クールな顔できみの足元でツンとポーズを

取っている

新しい君のお気に入り


私に似た顔で

お父さんそっくりの雰囲気を醸し出して

きた


ああ、君は男の子だ

やわらかいほっぺだけれど

すぐに私に寄り添ってくるけれど

君の中には

私の立ち入れない城があって

君はそこの主で

何としても守ろうとしている

まだ君の知らない、君の一部が


いつか私を弾くときがくる

君の城の中に閉じ籠るときがくる

頑丈な鍵を閉めて

誰もいれない


その時


やわらかいほっぺには

うっすらごま塩を蓄え

赤いポッチが点々とあるかもしれない

腫れがって、青くなっているかもしれない

涙の跡でカラカラに乾いているかもしれない


私は君が出て来るまで

あたたかい食べ物を作り続けよう

白い湯気をふかふかあげて

君の城から見えるほど高く高く





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― 新着の感想 ―
[良い点] 優しい感じがします。 暖かい親心を感じさせてくれて ほっこりできる詩ですね。
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