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世界はいつだって思い通りに回らない
流血、暴力表現を含みます、
お気を付けください
人間はなんとも醜い生き物だ――
それを聞いた瞬間、俺は「あぁ、名言だな」と思った。
泥まみれ血みどろ、つんと鼻を刺すような刺激臭。
身体の疲労、視力の低下。
いや、視力に関しては俺が目を閉じているだけかもしれない。
そんな、簡単にわかりそうなことさえ、今の俺にはわからない。
どうやら俺は死んだようだ。
感覚の麻痺、朦朧とする意思、ため息をつく空気の腹の中に残っていない。
「……ふっ」
俺は鼻で笑われたらしい。
はは、お笑いだな。
別に構いやしない。
どうせ、もう死んでいるのだから――死ぬのだから。
「まだ脈打っているな」
そっか、まだ生きてるんだ。
だからどうだと?
お前もどうせ俺を殺しに来たんだろう?
殺したければ殺せ、そして不幸に恐れて死ぬがいいさ、へっ。
「お前には生きてもらわねば困る」
そんなこと俺は知らない。
いいから死なせて――殺してくれよ。
楽になりてぇ。
「生きろ」
死にてぇよ。