王子が一人…
「悪魔か、天使か」
人生の理不尽さが耐え難いほどになると、女主人アンネローレの声は奇妙に張り詰めるのが常だった。「私にとって、それが何だというのです? グラモール、私に残されたのはエリラだけ。あの子の母親を失ったように、エリラまで失うわけにはいかないのです」
少なくとも彼がそばにいる間、彼女の声の調子は巧みに抑えられ、決して荒らげられることはなかった。しかしグラモールは、彼女の言葉の裏に潜むパニックを読み取るには、十分にアンネローレという女を知り抜いていた。それは、これまで何事にも動じなかった彼女のうちに、滅多にない恐怖が呼び起こされた証だった。
「違いは大ありだ」グラモールは言った。目の前の議論から距離を置くように、ねじくれた手の中で杖を持ち替える。その疲れた目は、長年の手沢で磨かれ、捻じくれた木彫りの髑髏に注がれていた。「天使は神の遣い。軽々しく扱ってよい存在ではない。我らが語っているのは、地獄の使い走りなどではないのだ。奴らなど、たとえ五人がかりでも、最下級の天使一人に容易く打ち負かされるだろう」
「ならば、下級の天使で結構」アンネローレは呟いた。その声には、完全には隠しきれない絶望の色が滲んでいた。彼女は疲れ果て、その気力は日ごとに衰えているように見えた。「エリラなら、下級の悪魔の五匹やそこらは造作もなく屠ってみせます」自嘲的な笑みが、真の愉快さとは無縁に、彼女の唇の端を歪めた。「あの子の母親とて、そこらの悪魔を選んだわけではないのでしょう? 相手は王族の血を引く者だった」
グラモールの思考は、意図せずその一点へと引き寄せられ、抗おうにも、微かな身震いを抑えることができなかった。だが、アストラという女は、常に多くの女たちとは異なる視点を持っていたではなかったか。あるいは彼女は、あの忌まわしい瞳の奥に、魂の片鱗を垣間見たのかもしれない。彼にできるのは、ただ祈ることだけだった。彼は声に出して彼女に思い起こさせた。「父親がどれほどの力を持っていようと、あの子が引いているのはその血の半分に過ぎん」
女主人の瞳に、憤怒の光が宿った。エリラの父親としてあの生き物に言及されることを、彼女が我慢することは滅多になかった。たとえ、二人が断ち切れぬ絆で結ばれているとしても。だが不思議なことに、今回、彼女は声に出して異を唱えなかった。椅子に深く身を沈めると、その目はほとんど無意識に書斎の窓へと彷徨う。「どちらでも、同じこと」彼女は声に出して繰り返した。「私に残された家族はエリラだけ。あの子まで失うわけにはいかないのです」
孫娘の血筋についてであれ、現在の状況についてであれ、今度のその言葉を、グラモールは聞き流すことができなかった。「残された、唯一の家族だと?」彼の薄い唇に、非難の色を帯びた眉間のしわが刻まれた。「お前は、あの二人だけでなく、自分自身にもそう言い聞かせてきたのか?」
女主人は沈黙した。椅子の肘掛けを握る彼女の拳は、一瞬、以前のような激しい力を込めた。しかし、すぐにその力は抜け、暗黙の服従を示すかのように弛緩した。「アマーラには、決して知られてはなりません」彼女は力なく認めた。「私は娘を炎から守ることができなかった……せめて孫だけは、この一族が成り果てた恥辱から守ってやりたいのです」
「本気でそう思っていると?」彼の声には、侮蔑に似た響きが混じっていた。「お前が恥辱と呼ぶものを背負うより、あの子は独りの方がましだと? そして、お前は本気で、娘を炎から守れなかったと?」老女が顔を背けていても、彼には彼女がたじろいだのが分かった。彼女の頭が僅かに垂れるまで、彼はその横顔を凝視し続けた。
彼女の視線は、まるでドレスの縫い目を必死に辿っているかのようだった。
最後の非難の言葉は、二人の間に声なく漂っていた。彼は残りの言葉を口にしなかった。『お前自身が、あの子を見捨てたのだ』と。生涯をかけて彼女を憎んできたとはいえ、その最後の一突きを加える必要はなかった。結局のところ、自分は何をしたというのだ? 彼自身、大きな危険を冒すことはできなかった。だが、最善は尽くした。母子を村から永遠に連れ去ることを申し出たのだ。アストラと、その幼子を守るために。アストラならば、それを望んだはずだった。彼女の妹であるアンネローレが、なぜそれを拒んだのか、今でも彼には不可解だった。
アストラが母親を案じたのと同じくらい、アンネローレもまた、母親を案じていたのだろう。老いた母を一人にはしておけなかったのだ。「二人して、あの方を見捨てるわけにはいかないわ」
グラモールは追憶を振り払い、かぶりを振った。あの老女に、それほどの献身を受ける資格はない。彼が長年彼女の傍らにあり続けた理由は、とうの昔に彼女のためではなくなっていた。
ついに、先刻までの毒気を含まぬ声で、彼は言った。「それで、エリラを守れと、そう言うのだな」その声には諦念が響いていた。「かつて、お前が私に、あの子の母親を守らせたように」長い沈黙が落ちた。それは再び、彼のような生き物への依存を認めたがらない彼女の躊躇を示していた。彼が溜め息をつくとしたら、それは彼女のためではなかっただろう。もはや彼女のために費やす感情など、彼には残っていなかった。その頑なな誇りが、これまでろくな結果を生まなかったことを、彼はとうに知っていた。
彼は許可を求めるでもなく、挑発するでもなく、再び口を開いた。ただ、窓の外の消えゆく光に顔を向け、囁いた。「エリラは守ろう」その声は静かだった。「アストラに、そう頼まれたからだ。あの子の母親は――今も――善い女だ。お前のためでも、あの子のためでもない」一瞬の静寂があった。「これ以上ないという理由がなければ、二度と私をここに呼びつけるな」
その時、彼は背を向け、立ち去ろうとした。だが、背後から女主人の次第に弱々しくなる声が彼を引き留めた。「アマーラのことで、一つ聞きたいことが」
グラモールは、それを聞くために立ち止まることさえしなかった。
この街で、何らかの意味でエリラにとって重要な人間は、ほとんどいなかった。夜が帳を下ろし、その日の探索が行き詰まりを見せた頃、彼女は自宅の玄関先で、自分が最も好まない人物と顔を突き合わせていた。
扉から現れたグラモールは、彼女の侮蔑に満ちた視線を受け止め、ほとんど感知できないほどの仕草でそれを認めると、一瞥もくれずに彼女の脇を通り過ぎた。陽光からその忌まわしい容貌を隠す、重い革のフードを目深に引き下げながら。
吸血鬼に近いその男が通り過ぎた後、エリラは内なる怒りに身を震わせた。彼のことを思うだけで、反射的に目を閉じ、指は固く握りしめられていた。三度呼吸する間、彼女は身じろぎもせずに立ち尽くし、やがて体の力を抜き、目を開けて家の中へと入った。
今回、アマーラは階段の上で彼女を待っていた。おそらく、先ほど終わったばかりの会話を盗み聞きしていたのだろう。だが、年長者たちの会話など、半魔のエリラにとっては関心のないことだった。彼女の姿を認めると、若い娘の目は瞬く間に見開かれ、後ずさった。おそらく、エリラに問い詰められる前に、女主人の元へ逃げ込もうという魂胆だろう。
しかし、エリラに遊戯に付き合う気はなかった。娘が逃げようとした瞬間、その襟首を掴み上げる。彼女の悪魔的な俊敏さの前には、魔女の優雅さなど敵ではなかった。「そこを動くな!」エリラは叫び、娘を乱暴に引き戻した。悲鳴を上げたアマーラは、よろめいてエリラの腕の中に倒れ込む。エリラは片手で素早くその口を塞ぎ、もう一方の腕を腰に回してしっかりと抱きかかえると、そのまま階段を引きずり下ろし、自身の寝室へと連れ込んだ。