表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1.異世界妹

 百年ぶりに会った女の敵を睨み付けるような女神に、私はその美しさに口説き文句を並べてしまった。

 

「あなたは、ふざけた罪で死んだのです」


 目の前には神を名乗る女性が?私に呆れた表情で淡々と口上を述べる。


 私の死因は、異世界ハーレムを夢見て、スキップしながらトラックに突撃したことである。


「そんなにハーレムを作りたいなら、詰み女ばかりの異世界へ行きなさい」


 そんな異世界があるわけがない。どうせ冗談だろ?何かのドッキリを仕掛けられたんだなと納得する。

 この女神は、全く目も合わせてくれない。恐らく照れ隠しだな。


「では、異世界ハーレムを満喫すればいいですよ。行ってらっしゃい~」


 女神改め、ツンデレ系美少女は、黒い渦を何もない空間に出現させた。


「おい、ちょっとまてー」


 私はその黒い渦に吸い込まれて、目を覚ますと土の上で寝ていた。


「ここはどこ?私は誰?」


 見慣れない植物と森特有の匂い、マイナスイオンを感じる。


「お兄ちゃん待ってたよ」


 聞き覚えのある声に振り返えれば、そこに立っていたのは?


「えっ!嘘でしょ?」


 私はその人物の顔をマジマジと確認すると、同居している従妹のハズキの顔がそこにある。


「そんなにジロジロ見ないでよ、照れちゃうからさ」


 これは幻覚と幻聴だろう。うん、絶対そうだ。

そしたらハズキは、幻じゃないとアピールを始めた。


 黒髪のショートカットでデニムスカートとパーカー姿、今朝見たハズキの服装と同じだ。


「何でいるんだ!」


 ハズキを掴みぐらぐら揺らすと、豊かな胸が揺れる。


「揺らさないでよ~言うから、言うからさ」


 ハズキは、観念したように語り出す。 


「アタシね、お兄ちゃんと同じトラックに轢かれたんだ」


 同じトラックに!どゆこと?


「お兄ちゃんの後ろにダンボールあったでしょ?」


 思い出してみれば、何かやたらでかいダンボールがあったような?


「アタシ、そのダンボールの中にいたからさ」


 ハッ?意味がわからん。何でダンボールの中に?


「何でだよ!」


 ハズキは、身振り手振りで説明を始めた。


「お兄ちゃんかんさ…道路の交通量調査のアルバイトしてたんだー、そしたらお兄ちゃんがトラックに」


 コイツ、アルバイト何てしてたっけ?

それに何故、ダンボールに入って?日焼け防止のためか?


「お兄ちゃんがぐちゃぐちゃのミンチになった後に、車の勢いが止まらなくて、そのままアタシも」


 聞いていたら吐き気が、つらたん。


「なんかもう、色々台無しだよ」


 異世界で初めて出会ったのが従妹なんて、もっとこうドキドキわくわくがあっていいだろー。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ