泥濘の恋情
いつか出会えたら
はじめまして、なんて言わない
いつか出会えたら
言葉なんて何もいらない
その愛が泥舟だと知っていたから
喜んで乗ったんです
来世では他人でいたいものです
生憎、運命なんて信じていないので
他人としてあなたの前を通り過ぎたいのです
初めて交わした言葉をずっと覚えている
最後に交わした言葉はもう覚えていない
あれが最後になるなんて夢にも思わなかったから
賞味期限が切れた恋はさっさと捨てた方がいい
発酵した醜さに変わる前に
ふとした瞬間に思い出して
「あぁ、やっぱり好きだな」
そう思えるくらいがちょうどいいのだと
今頃になって思うのです
うぬぼれでもなく愛されていたのでしょう
愛が憎しみになってしまうほど
うぬぼれでもなく愛されていたのでしょう