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六話・乙女の豹変、普通の女の子?

閲覧ありがとうございます!久しぶりに新作を投稿しました、興味がある方は是非最後までご拝読ください!

「あ、あの、枢木さん...これはどういう...」


「どうもこうもありませんよ、あぁ、同い年くらいの男の子の身体ってこんなにも逞しいのですね...」


「い、いやっ! ちょっ!!」


枢木さんは少し前とは別人のように恍惚した表情で俺の腹あたりをふわっと軽く触ってくる。


ま、まずいぞ、お嬢様とうふふな展開を期待していたけど、いざそうなると何もできないよぉ

それに心臓が鼓動で弾けそうだ。


パニックになっていると、枢木さんがてをぐらし、今度は太ももあたりに触れてきた。


「ひやぁぁあっ...!」


「あら、要くんはここが弱いんですか? ならもっと...」


「いやぁっ!! 枢木さんダメだって!といか何で急にこんなことっ!!」


声を上げて止めようとするも、枢木さんは顔を赤くしながらどんどん手の動きを激しくしていく。


本当にマズイぞ。このままだと俺の貞操が危うくなる、何とかしないと。


俺は枢木さんの手の感触に耐えながら勢いをつけて身体を起こす。


そのまま逃げ出そうと思ったのだけど、それに気付いた枢木さんに腕を強く引かれ、体制を崩す。


「ってて...ごめん、大丈夫? 枢木さん...って!!」


「あ、あの、ごめんなさい、要くん...私...」


身体を起こすと凄く恥ずかしそうな表情の枢木さんの顔が俺の顔のすぐ間近にあった。


どうやらバランスを崩した時に俺は枢木さんの上に覆い被さってしまったらしい。


「...要くん、ごめんなさい、私が変な事をし始めたからですよね、でも、その...」


「い、いや、違うよ!これは不可抗力で、断じてそういうことじゃ!!」


って、あれ? さっきまで人が変わったように積極的だったのに、今の枢木さんはどこか普通の女の子みたいになってないか?


もしかして、さっきまでのは普通に悪ふざけだったとか...?


「はぁ。何だそんなことか、枢木さん。にしてもさっきのは冗談がすぎるよ、流石にビックリ...」


「でも、要くんがそういう気なら仕方ありませんね。私の操を要くんに捧げます、そして今日から伴侶として私の人生も捧げます」


「...はい? あ、あの、だから、さっきまでのは冗談だったんだよね?」


話が合っていないようなので恐る恐る問い返すと、枢木さんは仰向けのまま恥じらうように首を横に振る。


ど、どういうことだ、全く話が読めない...本当のところ枢木さんに変な気はないんじゃないのか?


「要くん、責任...取ってくれますよね?」


「せっ、責任?! 俺、まだ何も...というか、枢木さん、め、目が!!!」


マジの目で訴え掛けられた俺は勢いよくベッドから飛び起き、部屋の隅に後退りする。


枢木さんはこっちをずっと見たまま、のそっと身体を起こすとゆっくりベッドから降りようとしている。


「あ、あの、せ、責任とかはちょっと分からないというか、別に俺と枢木さんはまだ何も...というか、さっき出会ったばかりだし...」


俺が必死にこみ上げてきた言葉を口に出すも、枢木さんはそれに何も言い返してこず、ただゆっくりこっちへ向かってくる。


あの、これ、マズイやつだよね? というか、柊澤さんもそうだけど枢木さんもどうして最初は凄く良い子なのにいきなり豹変したように...いや、そんな事を考えてる暇はないぞ。


早くここから逃げないと、マジでヤバい!!


「あの、さっき案内するのはここが最後って言ってたよね、だから俺、そろそろ教室に戻ろうかな、本当に今日はありがとう!!」


そう言いながら、急いで部屋の出口の方へ向き直るとさっきまで聞きもしなかった声色で枢木さんが声を掛けてくる。


「...逃げるな」


「ひぃいいいっ!!!」


振り返ると暗い顔をした枢木さんがこっちをグッと睨んでいる。


これは本当にマズイぞ、早く逃げるんだ!!


思い立った俺はもつれる足を必死で前に出しながら玄関に向かい、そのままエレベーターに飛び乗った。


「あぁ、死ぬかっと思った。というか、本当に何なんだ!!」


エレベーターの中、一人膝に両手をつきながら俺は声を上げる。


別に嫌って訳ではないが、ここに通う女の子達は皆んなあんな感じなのか?


いや、柊澤さんに枢木さん、この短期間で知り合ったあの二人が変なだけの可能性もあるな。


どちらにしても、お嬢様学校だからって浮かれていたら本当に痛い目を見そうだ。


これからはあの二人に気をつけよう...



******



その後、俺は枢木さんから逃げるように寮のマンションから出た後、アテもなく学園の中を彷徨っていた。


ひ、広すぎる。いくら何でもこの学園広すぎるだろ。ひょっとしたら某有名テーマパークくらいあるんじゃないか?


そんな事を思いながら俺はとりあえず目の前にあったベンチに腰掛け、一休みする事にした。


「いやぁ、朝から事件みたいなことばっかで流石に疲れたな。というか今何時なんだろ、スマホも教室に置いてきたし、どうするか...」


そんな独り言を呟いていると、背後から聞いたことのある声が掛けられる。


「あっ、辻堂くん? どうしたの、こんな所で」


「えっ?! いや、その...別に...」


と、まだ声の主の顔さえ見ていないのに言葉を返しながら恐る恐る振り返ると、不思議そうな顔をする桜坂芙美の姿があった。


確かこの子は朝話をしたいって声を掛けて来てくれて柊澤さんと言い合いになってた...こんな所で何をしてるんだ?


桜坂さんは朝見た時はセミロングだった髪をポニーテールにして束ね、制服ではなくショートパンツと上はジャージを着ていた。


「もしかして迷っちゃったの? そう言えば枢木生徒会長も居ないし...」


「あっ、えっと、いや!そうなんだよ桜坂さん! 枢木さんに案内してもらって別れた後教室に戻れなくなっちゃってさ!!」


「あぁ、やっぱりそうだったんだ。ここ広いもんね」


そう返された俺はとりあえず愛想笑いを浮かべる。口が裂けてもあんな事があって逃げてきたなんて言えない...。


桜坂さんは俺の横に座ると笑顔で口を開く。


「そういう事なら私が教室まで案内してあげるよ、でもその代わり朝のお話の続きしてくれる?」


「う、うん。俺でよければ勿論だよ」


「やった! 私、辻堂くんと話してみたかったんだあ」


言いながら桜坂さんは弾ける笑顔を見せる。なんか、桜坂さんは他の女の子とは少し違う気がするな。何というか、元気?なような。


「それじゃ、改めて自己紹介するね。私は桜坂芙美、これでも運動が得意でずっとバスケしてたんだっ! これから宜しくね?」


「宜しく、桜坂さん。もしかしてその格好、部活の?」


「ううん、今日は初日だしお休みって事なんだけど、放課後暇だしランニングでもって思ってね? そしたらバッタリ辻堂くんと会ったの!」


部活が休みの日もランニングだなんてストイックだなぁ、というかもう放課後なのか、思ってたより枢木さんとずっと一緒にいたんだなぁ。


俺はそんな事を思いながらも、桜坂さんに話を振る。


「桜坂さんはどうして俺と話したいって言ってくれたの?」


「きゅ、急にストレートだね。私ってさ、バスケはこれでも全国上位に入るくらい得意なんだけど勉強は全然ダメで。そこで急に入学してきた男の子...つまり辻堂くんが勉強が得意だって聞いてそれで...」


「あぁ、そうだったんだ。確かに勉強は得意な方だよ。というか、全国に出るって相当すごい事なんじゃない?」


そう返すと少し恥じらいながら桜坂さんは謙遜するようにううんと首を横に振る。


「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、勉強は本当に他の子より全然できないんだぁ」


「それならこれからもし勉強で困ったらいつでも声を掛けてよ、俺が力になれそうならいつでも手を貸すから」


「えぇほんと?! 良いの?!」


俺は桜坂さんの問いに首を縦に振る。まぁ、話してる感じ勉強が嫌いって訳じゃなく、ただ出来るようになりたいって感じがするし、勉強を頑張ろうとする人間に悪い奴は居ないからな。


「勿論だよ、教室まで案内してくれるって言ってたし、こっちこそ助かるよ」


「うわぁ、辻堂くんって良い人なんだね。お話できてよかったよぉ。」


感動したように言う桜坂さんはベンチから立ち上がるとこっちに手を伸ばしてきた。


「それじゃ、教室まで案内するよっ 行こっ辻堂くんっ」


「あぁ、うん。本当にありがとう桜坂さん」


俺は言いながら伸ばしてきていた桜坂さんの手を借りてベンチから立ち上がる。


「ねぇ、今度さ部活が始まったら見に来てよ、結構びっくりすると思うよ?」


「えっ、良いの? それなら是非見に行きたいな」


「うんうん! でも辻堂くんが見に来てくれたら緊張して上手くできないかもっ」


と、そんな話をしながら俺は桜坂さんと一緒に歩き出す。


あぁ、なんだか桜坂さんは他のお嬢様達と違うなぁ。いや、物凄く可愛いんだけど、何というか気を遣って話さなくて良いというか。


バスケ部で全国とか本当に尊敬するけど普通の女の子に近い気がして接しやすいなぁ。

最後まで読んで頂きありがとうございます!


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