表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/8

五話・どこかおかしいお嬢様達?

閲覧ありがとうございます!久しぶりに新作を投稿しました、興味がある方は是非最後までご拝読ください!

「ここが理科実験室です、名前の通り科学の実験などで使いますね。一年生はまだ先かもしれませんけど」


「あぁ、ありがとう枢木さん。なんか、細かいところまで案内してもらっちゃって」


「いえいえ、私がこれを言うのもおかしいかもしれませんが、強引にここへ連れてきてしまったお詫びも兼ねて、ですよ」


あぁ、本当に女神だ。どんだけ出来た子なんだ。無理矢理連れてこられて訳も分からず入学させられたのなんてもうどうでも良くなりそうだ。


俺は髪を流しながら歩く枢木さんの横顔を眺めながらそんなことを思う。


教室を出た後は色々な場所を案内してもらい、二年生や三年生の教室も外からだけれど見学させてもらった。


俺と同じクラスの子や他クラスの子みたいに、皆んながお淑やかで明るい表情を浮かべていて、何より本当に全員が可愛いかった。


「あの、要くん? 私の顔に何か付いてますか?」


「あっ、え?! いや、そんなことは!」


「そうですか。では、次の場所に向かいましょう。次は要くんを案内する最後の場所ですっ」


枢木さんは微笑みながら言うと、少し歩く速度を上げる。


いやぁ、本当かわいいなぁ...いや、待て、待つんだ辻堂要。女の子にデレデレするのは良いが俺の本業は勉強だろ。ここに居るのだってほぼ事故みたいな展開なんだし、やる事は変わらないぞ。


と、俺は今一度気を引き締めて、前を歩く枢木さんの後に遅れて続く。



******



それから暫く歩いた後、俺と枢木さんは校舎を出て外を歩いていた。


「ねぇ、枢木さん。外に出て一体どこを案内してくれるの?」


「そう言えばまだ言ってませんでしたね? 次に案内する場所は要くんのお家ですっ」


「え、お、お家? どういうこと?」


「そのままですよ? この学園の生徒は県外から通う子達も多いので寮があるんですよ」


「ちょっ、それは、俺がこれから寮で生活するってこと?! 家に帰れないの?!」


声を上げながら問い返すと、枢木さんは満面の笑みで首を縦に振る。


...可愛いお嬢様達に囲まれて学園生活を送るなんて浮かれたのがバカだった...これはマジの拉致だったんだ。


い、いや、待てよ、冷静になるんだ俺。寮に住むのは俺だけじゃなくお嬢様達もだろ? なら、学校が終わってからもウフフ、ムフフな展開があるんじゃあないのかぁ?!


「あの、着きましたよ要くん。どうしたんですか?ボーッとして」


「あぁっ、いや!なんでもないなんでもない!」


枢木さんに声を掛けられ、俺は誤魔化しながら顔を上げる。


すると、目の前にはいつの間にか立派なマンションが佇んでいた。


「タ、タワマンだ、これが世に言うお金持ちだけが住めるタワマン...」


「ふふっ、これはまだタワーマンションよりは小さいですよ? さぁっ、行きましょっ」


「あっ、あぁ。うん」


こ、これで小さい方なのか? こんなのどんな人生を送れば住めるんだ...といか、こんな建物朝来た時には見なかったぞ、こんなに大きければ嫌でも気付きそうだけど。


まぁ、この学園の敷地広さは結構有名だし、気付かないわけだ。


俺がそう思ったところで、枢木さんが制服のポケットから何かを取り出しながら声を掛けてくる。


「はい、要くん。これがこの寮のマスターキーです、無くすと大変なので大事にしてくださいねっ」


「あぁ、ありがとう。」


返事をしながら俺は枢木さんから渡されたカード型の鍵を受け取る。

枢木さんはマンションの自動ドアの方へ向き直り、もう一つの鍵で解除した。


「さぁ、どうぞ要くん」


「う、うん。なんか、緊張する...」


言いながら枢木さんの後に続いて自動ドアを潜ると、まず見えたのはオシャレで高級感のあるエントランス、のような場所だった。


「なんとなく想像はしてたけど、やっぱ凄い...」


「喜んでもらえて良かったです、建物自体は古いんですけど改築を重ねて新しさを維持してるらしいです」


「喜ぶと言うかこれ、本当に俺なんかが住んでも良いのか...」


そう言う俺をよそに、枢木さんはどんどん進んで行く。


エントランスを少し進むと、エレベーターホールがあり、俺は着いていくままに枢木さんとエレベーターに乗り込む。


「要さんのお部屋はここの最上階を用意させました。前は去年卒業した元生徒会長がつかっていたんですよ?」


「えぇっ? それって凄く良い部屋なんじゃ...」


「まぁ、それも学園からのお詫びということで受け取っておいて下さい。」


やっぱり良い部屋なんだ、というかよく考えたら自分の部屋があるのなんて初めてだな。


それから枢木さんと少し話していると、エレベーターが指定した最上階に到着した。


「どうぞ降りて下さい、ここが今日から要くんのお家ですからっ」


「は、はいって、もう玄関? これは、噂にだけ聞いたことがあるエレベーター直通玄関?!」


「要くんは本当に反応が可愛いですねっ どうぞさっき渡したキーで開けてみて下さい」


「かっ、可愛くないよ別に!」


「分かりましたよっ 早く開けてみて下さい」


うふふとからかうように言われながらも、俺は枢木さんに言われた通りカードキーをかざして玄関の扉を開く。


すると目の前に広がったのは絵に描いたようお金持ちが住むような部屋だった。


玄関には大きい靴箱と、その先には大理石で出来た廊下が伸びている。


「あ、あの、これ、本当に今日から俺の部屋なの...?」


「はいっ その反応だと喜んでもらえたみたいですね?」


「い、いや、嬉しいけど、次元が違いすぎて...」


俺は言いながら靴を脱ぎ、部屋の中へ入っていく。


奥まで進むと大きなリビングにテレビや机、そしてソファが用意されていた。どれも高級感満載な家具ばかりで、ダイニングとキッチンまで付いている。


「あのさ、やっぱりこれはやり過ぎなんじゃないかな? いくらなんでも俺なんかには勿体無いと思うんだけど...」


「いいえ、そんな事はありません。要くんにはこの学園の未来のために来てもらったんですから、これくらい当たり前です」


そう言うと枢木さんは奥に進んで行き、突き当たった扉を開く。


「ここを上がると少し狭いですけど二階もあるので好きに使ってくださいね?」


「えっ、二階?! マンションて二階が付いてることなんてあるの? それってもう一部屋じゃなくて、一軒なんじゃ...」


そんな事を呟いていると、枢木さんはまた違う扉を開く。


「どうぞ、ここは寝室なんですけど要くんがしっかり休めるようにデザインしておきました」


「デ、デザイン?」


案内されるまま寝室へ入ると、大きくて見るからに快適そうなベッド、それに可愛い照明そしてその近くには...


「って、こ、これ、俺が好きな漫画?! ていうかこの本棚は俺の...」


「気付きましたか? 要くんのお母様が勉強ばかりの要くんが息抜きする時いつもこの漫画を読んでたって仰っていたので、本棚ごと持ってきちゃいましたっ」


「あ、あ、ありがとう、枢木さん! 本当に嬉しいよ、うちは貧乏なんだけどテストでいい点取るたびに母さんが少しずつ小遣いをくれて、それで買ったものなんだ」


それだけじゃない、ここにある漫画は量さえ少ないけどいつも勉強してる俺の力になってくれた本当に大切な物なんだ。


「ねぇ、要くん? 漫画も喜んでもらえた事ですし、ベッドも私が選んだので試してもらえませんか?」


「えっ、ベッドも枢木さんが? それじゃあ失礼するよ」


俺は嬉しい気持ちのまま、目の前の大きなベッドに勢いよく飛び乗る。


「あぁ、気持ちいいよこれなら毎日ぐっすり寝れそうだ。ベッドってこんなに柔らかいんだね」


「でしょ? それはフランス産のベッドでして衝撃にも強いんですよ...」


と、枢木さんがベッドについて話し始めた途中で目を瞑って仰向けで大の字になっていた俺の身体に軽い衝撃と重みが加わる。


「ん...? えっ、あ、あの、えっと、あの、枢木さん?!!」


「...ずっとこうする時を待っていました。」


目を開くとそう言いながら上目遣いで俺にぎゅっと抱き付く枢木さんの姿が目に入る。


訳が分からなかった。


いや、めちゃくちゃ嬉しいよ? ここだけの話興奮もするよ?


で、でも、これは、これは...


どう考えてもおかしいだろぉおおおお?!!


最後まで読んで頂きありがとうございます!


もしこの作品が良かったと思う方は今後の活動の励みになりますのでブックマークと評価をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ