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番外編『20年前と6年前』その15

「あ、ああ、うん。もちろんいいよ。ちょっと待っててね・・・」


 釈然としないものを抱えつつも私は立ち上がり、再び本棚の前へと向かう。ライトノベル『悪役令嬢のコルセットに転生した私』第一巻から第三巻までの背表紙をまとめてつかみ、棚から抜き出そうとしたところで私の頭の上に豆電球がともる。私は本から手を離して体ごとみなとの方を振り返った。


「・・・?イツカちゃん、どうしたの?」

「いや・・・よく考えたら、べつに貸すとかじゃなくて。私が持ってる漫画もラノベも、DVDもゲームも。全部みなにあげちゃえばよくない?」

「・・・・・・。え」


 みなとが相変わらず床に正座をしたまま、信じられないといった表情でぱちぱちと瞬きをしながら私の顔を見上げた。私はその反応に、なんとなく決まりが悪いような気恥ずかしいような気分になって、頭の後ろに手をやりながら照れ笑いをする。


「や、だってさ。私はもう最近、ひとりで作品を鑑賞することなんてほとんどないから・・・この部屋に置いといても仕方ないっていうか?だから・・・うん、そうだよ。全部みなとにあげる」

「・・・・・・。いいの?本当に?イツカちゃんの、大切な宝物ばっかりなのに・・・」


 立ち上がりながら呆然とした顔でそう聞いてきたみなとを見て、私は腰に両手を当てて笑った。


「いいよ、本当に。これから新しく買う本もDVDもゲームも、みんなみなちゃんの部屋に置こう。みなちゃんの部屋に入りきらなくなったら、あとは私の部屋に置いていけばいいけど・・・それも所有権はみなにあるってことで。オーケー?」


 照れ隠しに両手を広げておどけると、みなとが小走りで私に駆け寄ってきた。そして、


「うぉわっ」


 私に突撃━・・・いや、頭突き━・・・もとい、思いきり抱きついてくる。


「イツカちゃん、ありがとうっ!!大好きっ!!」

「は、はは・・・そっか~、みな私のこと大好きか~・・・ふふふ・・・へへ」


 義理の娘にそんなことを真正面から言われれば、当然、養母はだらしのないにやけ面になってしまう。我ながら気持ちの悪い笑い方をしながら私はみなとに尋ねた。


「・・・そんなに嬉しい?その、私は大人でみなは子供だし、そういう意味でもゆずるのは当たり前と言えば当たり前なんだけど・・・」


 みなとは迷いなく、ぴかぴかの笑顔と共に大きく頷いた。


「うんっ!!嬉しいっ!!あのね、全部もらえることが嬉しいんじゃなくて・・・イツカちゃんが私に、イツカちゃんの宝物をぜんぶあげてもいいって思ってくれたことが、嬉しいっ!!」

「━・・・。そっ、か・・・」

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