番外編『20年前と6年前』その11
「どっ、どどどど・・・どうしたのみなと!!何!?何を言ってるの!?」
思わずみなとの両肩を強い力で掴み、がくがくと揺さぶった。手加減をしてやれるだけの心の余裕を失っていたため、みなとはあっという間に目を回してしまう。
「はわわわわわ・・・」
「なんで、どうして、そんなこと・・・・・・。・・・・・・・・・。・・・・・・・・・あっ、ご、ごめんみなと!!」
みなとが私の質問に対して答えを返すどころではない状態になってしまっていることに途中で気が付き、ようやく我に返った。慌てて肩から手を離すが、みなとは眩暈に襲われたように(というか、実際襲われたんだけど)ふらふらと頭を揺らしながらその場にしゃがみこんでしまった。
「だ、だいじょぶ、だいじょぶ・・・」
「・・・っ」
優しいみなとは未だ目をぐるぐると回しながらも全く私を責めることなく、むしろ安心させるように微笑んで自分の無事をアピールしようとしてくれた。・・・何をやってるんだろう、私は。自信あるとか言っておいて、こんなの怒ったのと同じじゃん。っていうか怒るのよりもっと悪いかも。だって、今私がやったのはただの暴力だ。
私は床の上に正座し、がっくりと項垂れながらみなとに謝罪した。謝って許されるようなことでもないが、だからと言って謝らないわけにはいかない。
「ご、ごめん・・・なさい、みなと・・・。あの、私、気が動転しちゃって・・・。ひとりで読書したいなんて初めて言われて、みなとに嫌われちゃったんじゃないかって思ったから・・・」
自分で喋りながら途中で『あれ、これってごめんとか言いながら結局みなとに責任を転嫁してない?』と思い至っていよいよ本格的に死にたくなってきた。けれどその苦悩は、私の謝罪という名の言い訳に対するみなとのリアクションによって全て吹き飛ばされた。
「そーなのっ?」
みなとが正座した私の膝の上に両手をつき、下から顔を覗き込んできた。━・・・ものすごい笑顔で。




