番外編『20年前と6年前』その8
妹、ねぇ・・・。好きな人から妹(恋愛対象外)認定されて落ち込む、なんてことは物語の中でしか起こり得ない出来事だと思っていたけれど。現実でもあるんだね・・・勉強になったよ。
そうやって切ない気持ちに浸っているうちにまどかちゃんは私の頭の上から手を離し、腕を組んでから振り返って先程のダンボール箱の方を見た。
「でも、私にもあげらんない、かぁ・・・。私もさ、実は最近・・・あんたにも、あんた以外の他の友達にも、あげらんないものができたんだよね。ううん、できそうって言ったほうが正確かな」
「えっ」
意外過ぎる発言だった。まどかちゃんは決してドライな人というわけではないけれど、なんて言うかこう、一つのものに執着するタイプでもないはずなのに。
「ええ~・・・何それ、どういうこと!?めっちゃ気になる!!まどかちゃんも遂にオタクになるの!?」
つい期待してはしゃいでしまう私に、まどかちゃんは苦笑して片手を振りながらこう言った。
「バカ、そんなわけないでしょ。・・・そうだなぁ・・・じゃあ今度、見せたげるよ。私の、大切なモノ」
「え、ホントに!?」
どうしよう、めちゃくちゃ嬉しい。正直、「あんたにもあげらんない」って言われた時は、ついさっきの自分の発言も棚に上げて『寂しいな』って思う気持ちがあったんだけど・・・。それぐらい大切に思うモノを、私に見せてくれるだなんて。
━・・・私、めっちゃ大事に思われてんじゃん!!それに、信頼されてるじゃん!!
「約束だよ!!ゼッタイ約束!!守らなかったらいくらまどかちゃんでもひどいんだからねっ!!」
「はいはい。・・・もー、あんたはすぐ調子乗るんだから」
超ハイテンションになって無意味にその場でぴょんぴょん跳ねる私の額を、まどかちゃんが人差し指で軽く押した。私が「ごめん」と言って笑うと、まどかちゃんも笑った。
━・・・『大切なモノ』をまどかちゃんに見せてもらう記念すべき日。それが、自分の恋が終わりを告げる日になってしまうなんて。
その時の私は全く思いもせず、ただ無邪気に笑っていたのだった。




