番外編『20年前と6年前』その2
「あのね、実は私の親って二人とも結構厳しくて。漫画読むのもアニメ観るのもゲームやるのも全部、禁止されてんの」
まどかちゃんが目を丸くして、まじまじと私の顔を見てきた。
「え、ウソ・・・マジで?知らなかった・・・じゃああんた、どうやって」
お、珍しくまどかちゃんが驚いてる。普段この人があまり見せない表情を私が引き出せたのかと思うと、なんか嬉しい。
調子に乗った私は、ちっちっち・・・と偉そうに指を振りながらまどかちゃんの疑問に答えた。
「やり方があるんだよ。例えばぁー・・・これ」
私は名残惜しさを感じつつも好きな人の手を放すと、部屋の隅に置いてあるダンボール箱の前まで歩いて行ってしゃがみ、まどかちゃんに手招きをした。
「あぁ、この中に色々入ってんの?・・・って、教科書じゃん」
私に許可を取る過程をすっ飛ばして躊躇いなくダンボール箱を開けたまどかちゃんが、拍子抜けしたような声を上げた。箱の中にはまどかちゃんが呟いた通り、数学やら歴史やら英語やらの教科書が、表紙を上にした平積みの状態で入っている。・・・ように見える。
「そう見えるでしょ?・・・でも・・・こいつらを、何冊か・・・。よっ、と・・・。退けた、あとに・・・ほら」
上に積まれているダミーの本を数冊取り出せば、すぐに本命のコレクションが顔を出した。私は「じゃーん!!」という自作の効果音つきで、まどかちゃんにそれらを見せびらかす。
「おー・・・マンガに、マンガみたいな絵がついた小説に、ゲームソフトに・・・DVDも・・・」
まどかちゃんが私の宝物をひとつひとつ取り出して、うんうんと頷きながら眺める。
「なるほどね、これでこそあんただわ。・・・隠し方が結構ベタなところも含めて」
「え!?そ、そう!?ベタかな!?」
本日二度目の衝撃に私は声を裏返らせた。けれどまどかちゃんは全く容赦なく「うん」と頷いて追い打ちをかけてくる。
「ぶっちゃけ、評価できるのはダンボール箱をベッドの下に隠してないことくらい」
そう言って、まどかちゃんはちらりと部屋の左端に置かれた私のベッドに目をやった。




