私なりに
我ながらなんとも頼りない返答だったが、みなとは機嫌を損ねたりしなかった。むしろ満足そうな笑顔で、
「うんっ!お願いね。イツカちゃんなりにで、いいんだから」
と言って、椅子から立ち上がる。
・・・私なりに、か・・・。
「イツカちゃん、食欲はある?大晦日だからお蕎麦を作ろうと思ってるんだけど、食べられそう?」
「え、あ、ああうん!そっか、今日は31日だったね・・・」
そう。色々ありすぎてすっかり失念していたが、今年も残すところあと数時間なのだ。
「じゃあ私、すぐに作るから。出来上がるまでのあいだ、イツカちゃんはちゃんと寝てなさい」
「ん・・・分かった。ありがとね、みな・・・」
そう答えてごろんとソファに横になると、みなとが苦笑して言った。
「いや、そうじゃなくて。ちゃんと自分の部屋で休んで・・・」
「いいのいいの。わざわざ私の部屋までお蕎麦運ぶの、みなちゃん大変でしょ。私も移動するの面倒だしさ」
「もう・・・じゃあ食べ終わったら、ちゃんと部屋に戻るんだよ?」
「はぁい」
右手を挙げて子供のような返事をすれば、みなとは『しょうがないなぁ』みたいな笑顔を残し、キッチンの方へと歩いて行った。私はその背中を見送ってから、ゆっくりと瞼を下ろす。
━・・・さっきみたいに大爆発してしまうのは論外として。本当に、来年からはもう少し自然に、思ってることを正直に伝えられるようにならなくちゃだよなぁ。
そんな、願望以上決意未満の思いを胸に秘めながら、私は少しずつ浅い眠りの中へと落ちていくのだった。
キャラクター全員に対して一定以上の愛着を持っていますが、中でもイツカは特に気に入っています。自画自賛になりますが、ウェットとドライの中間ぐらいの性格に上手いこと調整できたなぁと思っているので。どちら側にも傾きすぎないよう、実はかなり気を使って書いています。
・・・いや、今回の章読んだら「そうか!?」と突っ込みたくなる人も居るかもですけど!本当なんです!本当に気を付けてるんですよ!「読者の方々にギリギリ見放されない程度に人間臭い」がイツカというキャラのテーマの一つだと思ってるんで!信じてください!
まぁそういうわけで(?)、いろいろな意味でギリギリを攻めた(つもりの)第4章でした。次からはちょっと長めの番外編です。




