同じくらいに
そう声を掛けると、ソファから少し離れた食卓の椅子に座って私と一緒にドラマを観ていたみなとが、くるりとこちらに振り返る。その顔を見て私はぎょっとした。みなとの両目から、もう既に止まっていたはずの涙が再び流れ出していたからだ。
「み、みなと、どうしたの!?ご・・・ごめん、私、また何か・・・!」
「ち、ちがうよ。そうじゃなくて・・・安心したの」
みなとは涙を手で拭い、首を横に振りながらそう言った。
「安心・・・?」
「うん。・・・私、ヒロインが、昔の恋人の方を選ぶんじゃないかって、そうなったら嫌だなぁって、ずっと心配してたから。その・・・つまり、個人的に、今の結婚相手の方に肩入れしてたっていうか、感情移入してたの。だから、ああ良かったなぁって」
みなとはそう言って、とても嬉しそうに微笑んだ。私は納得して深く頷く。
「なるほど、そういうことね。いや分かるよ、私もどっちかって言えば現恋人・・・夫か、そっちの方を応援してたから。昔の恋人の方を選んでたら、ここまで感動できなかったと思う!」
「だよねっ。このドラマ、本当に好きだったから、終わっちゃうのは悲しいけど・・・でも、幸せな結末で、良かった。なんかひょっとしたら、物語に続きがあることと同じくらいに、ほっとした」
「・・・うん。そうだね・・・!」
そこで会話が途切れ、お互いに無言になった。どうやら私たちはまだ、先程あったひと悶着、大騒動を完全に吹っ切ることができたわけではないらしい。私は短くない時間逡巡し、あえて自分からその件について触れてみることにした。




