髪飾り
「みなと、これ見て」
部屋の入口の前でぼんやりと佇んでいたみなとに声を掛ける。みなとはやはり私の指示に従った。のろのろとした足取りではあるがこちらに歩いて来て、私のとなりにしゃがむ。
「これ、覚えてる?」
私は写真の中の幼いみなとを指さした。正確にはみなとではなく、みなとの頭の上を飾る赤い星型の髪飾りを、だ。
「・・・うん・・・覚えてる・・・私がまだ幼稚園に通ってたころ、毎日つけてた」
「そうだよな。この髪飾りは、お前が初めて私のところに来た日からつけてたやつだ。・・・まどかちゃんに買ってもらったんだよな」
「・・・うん」
私はそこでアルバムを閉じて乱暴に床に放り、みなとと向き合った。
「でも今はつけてないよな。っていうか持ってすらいないよな。それはなんでだ?」
「・・・失くしたから」
「なんで失くした?」
私の強い口調と剣幕に、みなとがたじろいでいるのが伝わってくる。
「・・・それは・・・確か・・・」
みなとは少し顔を俯かせ、考えるようなそぶりを見せたあと、ぎこちなく口を動かし始める。
「確か・・・いつだったか・・・枕元に置いて寝て、朝起きたら無くなってた・・・」
私は、はあっ、と、大きく息を吐き出した。




