帰宅
「ただいまー・・・」
おそらく自分の部屋に居るであろうみなとに帰宅したことを告げながら、家の中に入る。扉を閉め、鍵をかけ直しながら、なんだか今日はものすごく寒いよなと思った。真冬とは言え屋内に入っても全く体の震えが収まらないとはどういうことだ。
まあそれでも流石に暖房の効いた部屋の中に入れば話は違うだろう・・・と考え、いつもよりも気持ち急いで靴を脱ぎ廊下へと上がった。と、同時に、バァン!という銃声のような音と共にみなとの部屋のドアが開け放たれた。
ぎょっとして目を見開き固まっていると、そのドアの向こうからみなとが物凄い勢いで飛び出してきて、だんだんだんっ!と派手な足音をたてながら大股で歩いて私の目の前までたどり着き、今度はそこでぴたりと静止した。
「た、ただいまー、みな、と・・・?」
そこで私は先程よりも更に大きく目を見開いた。みなとの顔が真っ青だったからだ。しかも、その一方で、私を見上げてくる大きな両目は真っ赤に充血してしまっていた。
私は慌てて持っていた鞄を床に放り出し、みなとの両肩に手を置こうとした。
「ど、どうしたのみなと!だいじょう・・・ぶっ!?」
最後まで言い終わるか言い終わらないかのうちに、握りつぶさんばかりの力で右の手首を掴まれた。みなとはそのままくるりと背を向け、先程と同じ大きな足音と歩幅で私を引っ張ってずんずんと歩き出す。そして着ていたコートを脱ぐ暇も与えられないまま、リビングの中へと連れ込まれた。みなとが私の手首を放さないまま部屋の中央近くまで歩いて行き、そして、気付いた時には、
「うわっ!」
ソファの上に思いきり押し倒されていた。そして間を置かずみなとが私の上に覆いかぶさり、全体重をかけてのしかかってくる。




