報告すべきこと
私が了承するのと同時に、部屋の中を沈黙が支配した。この人との無言の時間が耐えられなくなり始めたのは、いつ頃からだったろう。昔は平気、どころか居心地よくすらあったのに。
私はグラスの中の麦茶を一気に飲み干したあと、机に手を突いて勢いよく立ち上がった。
「じゃあ、帰るね。まどかちゃん、ありがとう・・・あっ」
思わず硬直した。
「・・・?どうしたの・・・」
「いや・・・えっと」
帰る間際になって思い出した。私は今日、できればあのことをまどかちゃんに報告、というか白状しておかなければなと考えながらここへ来たのだ。そう、私がみなとと『結婚』したということを。
この人には、自分の娘が現在置かれている状況を正しく知る権利があるからだ。
「・・・あの~・・・その、さ・・・まどかちゃん・・・じ、実は・・・・・・」
「・・・・・・」
まどかちゃんが長い前髪の下から、じっ、と私を見つめてきた。虚ろでありながらもみなととの血の繋がりを感じさせる光を湛えた二つの瞳を前にして、私は却って何も言い出せなくなってしまった。
「・・・・・・あー・・・うん・・・いや・・・ごめん、やっぱりなんでもない」
「・・・?そう・・・」
結局私は、怪訝そうに眉根を寄せるまどかちゃんと別れてアパートを出ると、そのまま帰路に就いた。
なんか神崎とイツカの会話シーンを執筆した時も似たようなこと思ったし、その時の後書きにも書いてましたが、どうも私は殺伐とした雰囲気の話を書く時が一番筆が乗るみたいです。多分根暗なんでしょうね。
というわけで今回の章は殺伐祭りです。




