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失態

 首を傾げるまどかちゃんにも頓着せず、私は自分の口元に手を当てて俯いた。恐ろしいことに、私は13年間みなとをこの手で育ててきて、今初めてその可能性に思い至った。


 もちろん流石にみなとがお姫様のように守られ愛されて育ったと考えていたわけではない。わけではないが、ぶっちゃけ私は「みなとがまどかちゃんに殴られる前に助け出せて良かったなぁ」と、どこか誇りにすら思って今まで生きてきたふしがある。「本当にそうなのか」という疑問をそこに抱けたことは一度もなかった。果たしてこれは「馬鹿だから」で済ませてもいい問題なのか。13年だぞ。みなとに対する愛情が足りていない、もしくはそもそも存在しないと誰かに糾弾されたとしても、甘んじて受け入れるしかないレベルの失態なのではないか。


 加えて、目の前に居るみなとの実の母親に事実を問い質すことさえ私にはできない。怖いからだ。


「・・・あんたが・・・さっきから・・・何を悩んでいるのかは・・・知らないけど」


 懊悩する私を不思議そうに見ていたまどかちゃんが、再び話し出した。


「本当に・・・気にしなくていい・・・私が出すって言っても・・・実際に・・・お金を払うのは・・・私の両親・・・だから・・・」

「・・・そうか」

「どうしても・・・申し訳ないとか・・・後ろめたい気持ちが・・・あるなら・・・そのぶん・・・あの子に優しくしてやれば・・・いい」


 まどかちゃんがしているのはあくまで部屋代の話だったが、その言葉は今私が悩んでいることに対する一つの解答例でもあった。だから結局、私はぎこちなくだが頷いてしまった。


「・・・うん」

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