痛いところ
そこでまどかちゃんが顔を上げ、今日初めて私の目を真正面から見た。別にそんなことを目的として発言したわけじゃあないけど、意表を突いてやれたのかもしれない。滅多にお目にかかれないまどかちゃんの感情の発露とも言えるリアクションに、私は少しだけ愉快な気分になりながら話を締めくくった。
「だから部屋代は私が払う。私の家でもあるわけだから当然だろ?浮いたお金でまどかちゃんがもっといい場所にでも引っ越せばいいよ」
「・・・・・・・・・」
私の決め台詞にまどかちゃんは再び俯き、無言になった。一転して私は少し焦る。どうしよう、よくよく考えてみれば今の言い方は少し嫌味っぽかったかも、何かビミョーに上から目線な気もするし・・・などと後悔が頭の中をぐるぐると回り始めたが、幸い数秒の間を置いてまどかちゃんは再び口を開いてくれた。その内容は幸いとは言い難いものだったが。
「・・・でも・・・・・・今のあんたの・・・・・・作家としての・・・知名度で・・・問題なく・・・家賃を・・・払っていけるとは・・・思えない・・・」
「う・・・・・・」
痛いところを突かれ、私は思わず呻いてしまった。しかしこの程度のことで落ち込んでしまう場合でも黙り込んでしまう場合でもないことは分かっていた。
今までずっとみなとの学費やら生活費やらの大部分をまどかちゃんに払ってもらっていたことはまぁ・・・まぁギリギリ、ギリギリ仕方がないとしてもだ。それに加えて今後は自分が住む部屋の家賃まで出してもらうというのは、やっぱりどうしても嫌だった。まるで私が金目当てでみなとと一緒に居るみたいじゃあないか。そう思ったから、私は反論した。
「い、いや、でも、大丈夫なんだよ。私は確かに売れてない作家だけど、そのぶん結構しゃかりきに働いてある程度以上の数の本、出してるから。なんとかなるんだよ。だから心配すんな、まどかちゃん」
しかし、私の必死の反撃に対して、まどかちゃんからは予想外の質問が返ってきた。
「・・・・・・みなとは・・・・・・あれなんでしょ・・・あんたと同じで・・・いわゆる・・・オタクってやつ・・・」
「・・・・・・?・・うん・・・?」




