番外編『13年前・ユニストセブンプレイ中』前編
━・・・今から13年前。私・20歳、みなと・5歳。
その日、私はいつものようにみなとの傍━・・・というか、みなとを膝の上に寝かせた状態━・・・でユニストセブンをプレイしていた。
☆
「・・・よっしゃー!!倒せた!!」
リビングの、ソファの上にて。私はコントローラーを一度投げ出してまでガッツポーズを決めた。一週間ほど前からずっと、何度挑戦しても倒せずにいたボスモンスターにたった今勝利したのだ。
「イツカちゃん、しゅごーい!!」
みなとも私の膝の上からぱっと起き上がり、万歳をして舌っ足らずな声で私のことを賞賛してくれる。私は高く挙げられたみなとの小さな両手に、自分の大きな両手をぱんと打ち合わせた。
「イェーイ!!」
「いぇーい!!」
みなととふたりで勝利の余韻に浸ったあと、ちらりと壁に掛かった時計に目をやる。もう夜の9時だった。2時間ほどプレイしたし、キリもいいし、ここらでセーブしてゲーム機の電源を落とすべきだろう。5歳のみなとはそろそろ就寝しなければいけない時間だ。
・・・そしてそのことに加えて、かなり切実な理由がもう一つ。実は私は、本来こんな風に呑気にゲームをして遊んでいる場合ではないのだ。何故なら締め切りが3日後に迫っているのに、原稿が完成には程遠い状態だから。いい加減現実逃避はやめて執筆にとりかからなければいけない・・・明日あたり鈴木さんから進捗状況の確認の電話がかかってきそうだしな。そう、私の現担当編集の鈴木さんは基本的には優しい人だが、そのぶんたまに怒った時は結構コワイのだ。
よーし・・・。今から仕事、頑張るぞ!!
私は意を決して投げ出されたままだったコントローラーを手に取り、主人公の『イツカ』をセーブポイントへと急行させた。そこでセーブするファイルを選択すると、すぐにデータの記録が開始された。
画面に表示された『記録中です。電源を落とさないでください』という警告を眺めながら、セーブが完了するのを待つ。その僅かな時間にみなとが話しかけてきた。
「・・・。ねーえー、イツカちゃん」
なんだか不満げな声だった。私は思わずテレビの画面から目を離し、みなとの方へ振り返った。




