いつも通り
親指を立ててみせるとみなとがぱぁっと顔を輝かせ、ぴょんと勢いをつけて立ち上がった。
「うんっ!そうだね!じゃあさ、明日はユニストセブンの続きプレイして・・・あと、昨日観た映画の感想会、まだちゃんとやってなかったからそれもやろう!」
みなとの提案に、私はテンションが上がって思わず意味もなく右手をぶんぶんと振った。
「そうだ、まだそのカードを切ってなかった!楽しいこといっぱいあるね!・・・あっ、あとさ、思いついたんだけど・・・今から一緒にお風呂入りながら、ユニスト初代から10(テン)までそれぞれの作品の好きなところ、言い合いっこしない?」
「・・・!うんっ!するっ!」
みなとは嬉しそうに頷いたあとしゃがんで、ずっと自分のプレイを横で見守っていたパンダの『サツキ』の頭を撫でながら「ちょっと待っててね」と話しかけ、再び立ち上がった。そのままとても自然な、流れるような動作で私の手を握ってくる。私たちはリビングの出口に向かって歩き出した。
「・・・あー、ダメだ、私待ちきれない!もう喋っちゃう!あのねイツカちゃん、私がユニスト初代でいいなって思うのはね・・・」
「うん、うん」
━・・・そんな風に。12月25日の夜、私たちはいつも通り仲良く話しながら、風呂場という目的地をふたりで目指して歩く冒険を始めるのだった。
喫茶店での神崎との会話からここまでが第三章(物語が始まってイツカとみなとが『結婚』するまでが第一章、クリスマスイブの一日が第二章)です。今回の章はただ二人でいっしょにゲームしながら喋ってるだけ(すみません)なんですけど、この作品でわたしがやりたいこと、表現したいことがぎゅっと詰め込まれた章になったと思っているので、書いた本人としてはかなり気に入ってます。番外編を挟んで次の章は逆にこれまでとはちょっと毛色の違ったお話になるかと思います。




