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出会っちゃったから

「でもね、今はもう違うんだよ。私はみなとに出会っちゃったから・・・。アニメやゲームや漫画や小説や絵本やドラマや映画よりも・・・そう、ブルーローズちゃんたちよりもずっとずっと、大切なものを、もう手に入れてしまったから。・・・もう昔ほど、全力で物語の世界に身を委ねることはできないんだよ。そんなことして、みなの手をうっかり放しちゃったりしたら大変でしょ?」


 私はみなとと出会ったことで、以前ほど物語の中での出来事を現実の事として受け止めることはできなくなってしまった。逆にみなとは、私が失ってしまったものを代わりに引き継ぐかのように、現実と空想のあいだを自由に行き来できる力を手に入れた。みなとはそれを先程、私からの『プレゼント』と表現したが、言い得て妙かもしれない。


 みなとにあげてしまったから、私の手の中に残ったものはもう、それまでと同じ完全なかたちではないのだ。かつては絶対に失いたくないと強くしがみついていた唯一の持ちものも、みなとにだったら、全部渡してしまったってかまわない。そう思えるようになった。


「まあ要するに大人になっちゃったってことだね、あくまで以前と比べればの話ではあるけど。・・・私は今でも物語が大好きだよ。でももう、暗闇の中で見つけた唯一の光だとか生きる目的そのものだとか、そういう風には考えていないんだ。あくまでみなとと一緒に楽しく笑い合うための手段でしか・・なく・・・て・・・」


 私の言葉は尻すぼみになっていき、最後には消えた。長々と話すうちに下を向いていた視線を元に戻し、再び見たみなとの横顔が、林檎に負けず劣らずというくらい真っ赤に染まっていたからだ。


 ・・・え・・・なんだその反応。なんだその反応。

今回のエピソードは、だいぶ前に書いたエピソード「出会えたから」と対になっています。良ければ見比べてみてやって下さい。私はどちらの考え方もあっていいと思っています。

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