不思議な力
「イツカちゃんは、物語の中のキャラクターを、現実の人と同じみたいに扱うもん。私知ってるもん」
・・・・・・・・・・・・。
「みなちゃん」
「・・・はい」
私が真剣な声を出したことに気付いたのか、みなとがゲーム画面から視線を外してこちらに振り返り、返事をした。
「さっきさ、みなちゃん、私に現実と物語の世界とを結びつける力がある、みたいなこと言ったじゃん?」
「・・・うん。言ったよ」
私はふっと微笑んだ。
「確かに私にはその力があると思う。でもね、実はこの数年・・・いや、十数年かな?その間で、私の力はだんだん弱まってきていると言わざるを得ないんだよ」
「え・・・」
「どうしてだと思う?」
みなとは深刻な表情でしばらくじっと私の目を見つめたあと、「・・・分かんない」と言って首を横に振った。
私は、自覚のないみなとに苦笑した。
「それはね、実は、みなちゃんのせいなんだよ」
「えっ」
私は敷布団の上で両手を組んで、ゆっくりと話し出す。
「私は・・・みなちゃんと出会う前や、出会ったばかりの頃・・・確かにそういう才能に、不思議な力に満ち溢れていた。物語の中の登場人物とお友達になる天才だった・・・それこそブルーローズちゃんとガチ恋愛できてしまうくらいに。それは当時の・・・友達も碌に居なくて家族とも折り合いが悪かった私にとって、物語の世界こそが自分の全てだったから。他に大切なものが何もなかったからこそ、全てを賭けて空想の中に身を投げ出すことができた・・・」
組んでいた手を解き、両手で頬杖をついた。そしてみなとに笑いかけ、意図してできるだけやさしい声を出す。




