大切にする
「確かにあるよ。でもそれは本来なら、私が持ってはいないものだった。イツカちゃんが私にプレゼントしてくれたものだから」
そこでみなとは皿の上からハムとレタスの挟まったサンドイッチを手に取り、口に運んだ。頬を緩ませ、「美味しい」と呟いたあと、こう話を締めくくる。
「私ね、イツカちゃんがくれたこのプレゼントを、一生大切にする。他の誰にも、自分自身にも壊されたり奪われたりしないように、抱きしめて守りながら生きるんだ」
サンドイッチを頬張りながらも真剣な顔つきのみなとに対し、私は何と言葉を返せばいいのか分からない。
いや、違う。本当は分からないのではない。私は心の底から「そんなもんを後生大事に抱えて生きようとすんな」と言ってやりたかった。実際に言ってやろうかとも思った。それなのに、何故か言葉が喉の奥に詰まって出てこなかった。
結局、私は無言のまま、ただスクランブルエッグの挟まれたサンドイッチへと手を伸ばすのだった。
☆
そして、食事を済ませてから約3時間後。午後10時過ぎ。
『ユニストセブンタイムアタック大会』がもしあったらぶっちぎりで世界一位なんじゃないかというくらいのスピードでプレイを続けていたみなとは、遂にあと二つダンジョンを突破すればユニコーンとの邂逅を果たせるというところまでたどり着いた。
・・・このまま順調に事を運べば、ひょっとすると日付が変わる前には『イツカ』と合流できるかもしれない。ゲーム画面を眺めながら顎に手をやり感心していると、みなとがちらりと私の顔を見て、唐突にこう言った。
「イツカちゃん、今更だけどなんかゴメンね」
「・・・?何が?夕ご飯のことなら全然気にしなくていいよ?」
私が首を傾げると、みなとは首を横に振った。
「それもあるけど、そうじゃなくて・・・。ほら、イツカちゃんがユニストで一番お気に入りなのって、セブンじゃなくてフォーでしょ?クリスマスなのに、私が一番好きなゲームを私がプレイするっていう・・・なんか、私だけが楽しいイベントになっちゃったなぁって」
眉を下げてそう言ったみなとを見て、私は同時に首と手を振った。




