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ユニストセブンのあらすじ

「あの時以来、私、だいぶ長いあいだ、イツカちゃんに出来ないことなんて何もないんだって本気で信じてたなー・・・。イツカちゃんに魔法をかけられちゃったみたいに。だって私は一番最初のダンジョンさえクリアできないのに、イツカちゃんはユニコーンに乗ってお姫様を助けられるんだよ?私、小学校を卒業するくらいまでは、イツカちゃんに出来ないことは光合成くらいだって思ってたよ」


 そこまで突き詰めなくても他にもっと色々あるだろ・・・。でも、そう言えばみなとは小学生の頃、理科の授業が好きだったな。今もバリバリの理系だし。


「流石に今は、イツカちゃんにだって出来ないことはあるんだってちゃんと分かってるけど・・・。でも安心してね。私は魔法がとけちゃっても、イツカちゃんのことが好き」

「あ、ありがとう」


 そこでみなとは再びテレビ画面へと視線を戻した。コントローラーを操作し、チュートリアルを再開する。


「実はね・・・あの日。イツカちゃんが私にユニコーンを見せてくれたあの日ね・・・私、幼稚園で男の子にいじめられて、ちょっと傷付いてたし落ち込んでたの」

「え!?」


 私は照れ隠しにケーキを口に運ぼうとしていた手を止め、ばっとみなとの方へ振り返った。


「そ、そうだったの!?ぜ・・・全然気付かなかった!!何それ、言ってよ!!そんなクソガキ私がぶっ飛ばしに行ってやったのに!!」


 私がいきどおってもみなとはプレイの手を止めず、しかし微笑んでこう言った。


「ふふ、ありがと。でもね、私、イツカちゃんがユニコーンに乗ってブーケトピア大陸を駆け回る姿を見て・・・驚いたりドキドキしたりするのに忙しくって、いじめられたことなんてあっという間にどうでも良くなっちゃったの。どうでも良くなって、イツカちゃんすごいすごいって、あの日の私はひたすらはしゃいでた」


 みなとがコントローラーを操る手つきは淀みない。画面の中の『みなと』は順調にチュートリアルの課題を消化していき、今は村人の家のタンスを開けたりツボを割ったりしていた。


「あの日、道に迷って困っていた私を、イツカちゃんがユニコーンに乗って迎えに来てくれた。それが、私がこのゲームを一番好きな理由。・・・だから今度は、私がイツカちゃんを迎えに行くね」


 みなとがそう言ったのと同時にチュートリアルが終了し、いよいよ本格的にゲームが始まった。


 物語のあらすじはこうだ。


 吸血鬼の少女・アカシア━・・・いや、みなとか━・・・みなとは、小さな村の中で、同じ吸血鬼の仲間や家族と共につつましいが幸せな生活を送っていた。しかしある日、みなとの母親が、『光の魔王』によって村から連れ去られ、姿を消してしまう。闇と共にしか生きることのできない種族である吸血鬼は、光の名を冠する魔王のもとでは永く生きられない。みなとは自分の母親を光の魔王から救い出し、取り戻すためにひとり、旅に出る。その旅の途中でエルフの姫『イツカ』と出会うことになるわけだ。


 ・・・ちなみに、主人公が吸血鬼で光に弱いという設定のため、プレイヤーはゲーム内の時間で夕方以降にしかフィールドを探索できないという斬新なゲームシステムが当時、それなりに話題になっていたと言うか賛否両論だったという記憶がある。私はどちらかと言えば『賛』の側だった。やはり連綿と続くシリーズものだからこそ、各作品に特徴や個性のようなものが備わっているというのは喜ばしいことだ・・・どんな形であっても。


 私自身が無個性でつまらない人間だという自覚を持って今まで生きてきているから、そう思うのかもしれない。作家としてももうちょっとユニークな物語なりキャラクターなり文章なりを生み出せるようになりたいなと常日頃から願い、一応努力もしている、つもりだ。あんまり実を結んでないと言わざるを得ないけれども。

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