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ユニストセブンの思い出 その2

「えっ・・・あっ・・・じょ、冗談!冗談ね!そっかーごめんあはは・・・」


 ついマジで一瞬みなとがグレてしまったのかと思ってしまった。私は首の後ろに手を回し、ばつの悪さに照れ笑いをする。


 そんな私の前で優等生のみなとは流れるような手つきで、主人公に『みなと』、エルフの姫に『イツカ』と名前をつけた。みなとが決定ボタンを押すとチュートリアルモードが開始され、画面の中の『みなと』が指示に従って最初の村の中を飛んだり跳ねたりし始めた。


「さっきの、さ」

「ん?」

「さっき言ってた、私がこのゲームを一番好きな理由なんだけどね」

「ああ、うん」


 みなとはどこか遠くを見るような、懐かしむような顔になって話し始めた。


「私さ・・・子供の頃から、イツカちゃんがゲームをプレイするの、そばで眺めてるのが好きだったでしょ?イツカちゃんもそれを知ってるから、昔から、ゲームで遊ぶのは必ず私が家に居る時を選んでくれてた」

「うん、うん」

「でもさ・・・一度だけ、イツカちゃんが、私に内緒でこっそりゲームを進めてた時があったの。そのゲームがこのユニストセブンなんだけど」

「え・・・」


 私は思わずゲーム画面から目を離し、みなとの方へと顔を向けた。


「何それ、ひどいね!私、そんな昔にもみなを置いて一人で冒険行ってたの!?タイムマシンに乗って昔の自分を殴り倒しに行きたい気分だよ、今!」


 そういう事件があったことをすっっっかり忘れていた現在の自分も蹴り飛ばす必要があるかもだけど。殴り倒したあとの過去の自分にやってもらうか。


「ふふ・・・大丈夫、大丈夫。まあとりあえず話を最後まで聞いてみてよ」


 自分自身に憤慨する私に対し、みなとは穏やかな表情で話を続けた。


「それでね?ある日、私が幼稚園から帰って来て・・・イツカちゃんが早速、ユニストセブンをプレイし始めたの。私はいつも通りそれを横で見てたんだけど・・・そしたらね。画面の中の主人公・・・『イツカ』ちゃんが、今までそんなことしたことなかったのに、突然ぴーって口笛を吹いて・・・で、駆け寄って来たユニコーンに、すっごくかっこよくまたがったの!」

「・・・あー・・・そう言えば・・・」


 だんだん思い出してきた。


 『ユニコーンストーリー』シリーズは全作品、物語を中盤まで進めるとユニコーンの背に跨ってフィールドを移動できるようになるのが特徴のひとつだ。そして当時既にユニストプレイ7回目の猛者だった私は、ストーリーの進行具合やNPCの発言などから『これはそろそろユニコーンを呼び出せるようになりそうだな』と、ある時点でなんとなく察知したのである。


 で、私はみなとを驚かせたい、なんならちょっと尊敬ぐらいされてみたいという一心で一度だけ、みなとが幼稚園に行っている隙にこっそりプレイを進め、見事目論見通りに事を運ぶことに成功したというわけだ。


「その時イツカちゃんはね、すごく嬉しそうに笑って、私に『びっくりした?』って聞いたんだけど・・・私、すぐにはそれに答えられないくらい、ほんとにびっくりしちゃって!でね、それから『イツカ』ちゃんはユニコーンに乗って、『帰らずの森』で道に迷ってるエルフのお姫様の『みなと』を見つけて、助けてくれたの!」


 みなとはいつの間にかチュートリアルを進める手を止め、私のことを見つめていた。

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