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起床


「イツカちゃん、起きて?」


 そこで目が覚めた。

 いつものようにみなとが私の肩をゆすって起こしてくれたからだ。


「ああ・・・おはよう・・・みな・・・」


 ついさっきまで見ていた夢の中での姿より、12年分成長した下着姿のみなとが私の顔を覗き込んでいた。これは毎朝のことなのだが、どうしてもその胸元に視線が行く。でかい。すごくでかい。全然大げさな話ではなくて、たぶん私の2、3倍は軽くあると思う。身長は150センチジャストでかなり小柄だし、顔だちも幼いのに。どうなってるのこれは。


「あの・・・あのさ・・・みなちゃん」

「なに?」


 私の呼びかけにみなとが首をかしげた。その動きに合わせて肩の少し下くらいの位置で切りそろえられたセミロングの黒髪が揺れる。


「いつも思ってたんだけど・・・なんで着替えの途中で私を起こすの・・・・・・高校入ったあたりからずっとだよね・・・」


 寝起きでぼんやりとした頭のまま質問をした。朝にめっぽう弱い私のろれつはまともに回っているとは言い難いものだったが、みなとは正確に聞き取ったようだ。まだ布団に寝転がった状態の私を見下ろしながらきょとんとする。


「え・・・だってイツカちゃん、『水着というものにロマンを感じたことはあんまりないけど下着姿の女の子は大好きだ』っていつも言ってるじゃん」

「いやっ・・・」


 そうだけど!確かに私はそういうアホなことをいつも言ってるけど、でも、そんな不思議そうな顔すんなよ!「きょとん」じゃないんだよ!

 私は無難に「だからって、みなちゃんが毎朝私に下着姿を披露する必要はないんだよ」と返そうとした。それなのに実際に口から出た台詞は何故か


「確かに私は本来水着にいまいちロマンを感じられない人間だけど、みなの水着だけは例外的にかわいらしくて好きだし、見たいか見たくないかで言えばまあ見たいんだよ」


 というものだった。何を言っているんだろう。


「そっか。じゃあこれからはたまに水着でイツカちゃんを起こそっかな」


 そう言ってみなとはまんざらでもなさそうな顔で笑った。・・・うん、まあ、いいか。この子が幸せならそれで。

 

 本題に入ろう。


「みなと」

「ん?どしたの?」


 あ、何言われるのか分かってる顔だこれ。


「誕生日おめでとう」


 私が言うとみなとは案の定特に驚きを見せることなく、


「ありがとう」


 と返してほほえんだのだった。


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