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誕生日プレゼント

 ☆


 それはそれとして、今日はクリスマスデートの日なのである。


 いや、そりゃあ思うところというのはたくさんある。考えなければならない問題も山積みだ。しかし今のところ、毎晩同じ布団の中に入って眠る以外で結婚によって私とみなととの間に生じた変化と言えば、もともと週2くらいの割合で一緒に風呂に入っていたのが毎日になったくらいのもんなのである。何が言いたいのかワカランって?要するにそこまで慌てて何か行動したり対策を練ったりして現状を打破しなければならないほど一刻を争う状況ではないということだ。まあさっき1日も早くとか言ったけどな、急いては事を仕損じるという言葉もある。それに何より、せっかくのみなとと過ごすクリスマスという日をうわの空で消化してしまうわけにはいかない。問題を解決するための計画は今後ゆっくり考えていくとして、今は目の前のイベントに集中、集中だ。このあいだのみなとの誕生日は散々だったのだから、今度こそ挽回してやらねばなるまい。


 私は白のセーターに赤いチェックのスカートという、微妙にクリスマスを意識した装いに着替え終わったあと、横にいるみなとの身支度が終わるのを待った。みなとは私よりもだいぶ早く着替え始めていたのだが、やや手間取っていたせいで今ようやく背中のファスナーを締め終わるところだった。なぜなら今日のみなとの服装は━・・・


「うわ、もう完璧。私みなちゃんのこの姿を見るために今日まで生きてきたんだわ」

「もう、そういうのいいから。っていうかやっぱりこの格好で外に出るのは恥ずかしいような・・・」


 黒と白が基調の、ものすごくオーソドックスなタイプのゴスロリドレスなのである。もちろんヘッドドレスつき。何を隠そう、先日のみなとの誕生日に私はこれをプレゼントしたのだった。隠せよ。


 ・・・いや、流石に18歳(成人)の誕生日プレゼントがこんな私の煩悩と願望に起因しまくったアイテムというのはどうかと思ったから、ちゃんともうひとつ別にちょっとお高くてシャレオツな腕時計もプレゼントしましたよ。そちらに関しては今日含め毎日つけてくれているみたいだ。律儀な子である。


 で、ゴスロリの話に戻るが・・・実は朝食の時点では、みなとはもっと普通の服装に既に着替えてしまっていたし、私もいつも通りのトレーナーにGパン姿だったんだけどね。私が「いやいや、ここはあのゴスロリに着替えてもらわないと」と頼んだら、みなとは私に「じゃあイツカちゃんも今日はGパンじゃなくてスカートはいてくれる?」と返してきたため、今こうして2人揃って私の部屋で着替え直す形に相成ったというわけなのである。


「いや何にも恥ずかしいことないって!めっちゃ似合ってるし可愛いもん!!むしろ胸張りなよ!!」


 これ以上張る必要がないくらいでかい胸だけども。


 なんて、そんなことはもちろん口に出して言ったりしない。


「うーん、でも・・・」


 ちらちらと壁に掛かった姿見を見て自分の格好を気にするようすのみなとに、私はぱんっと両手を合わせて頼み込む。


「おねがい!!朝食の前から言ってる通り!!せっかくのクリスマスだから、どうしてもゴスロリ着た可愛いみなちゃんをみんなに自慢して歩きたいの!!大丈夫、外に出ても絶対みなちゃんのこと笑う人なんているわけないから!私が保証する!!」


 13年いっしょに暮してきて、私はみなとが押しに弱い子なのだということを知っていた。だから押しまくった。すると案の定みなとは、


「わ・・・分かった!イツカちゃんがそこまで言うなら・・・!!」


 と言ってでかい胸(しつこい)の前でぐっと両手を握った。・・・うーん。


「あの、私の方から頼んどいてこんなこと言うと何だそれって思われるかもしれないけど、そんなに気負わなくてもいいんだよ?」


 気楽に行こうよ気楽に。


「ううん、いいの。せっかくのイツカちゃんからの誕生日プレゼントだし、それに・・・夫が妻の願いを叶えるのは当然のことだもん」


 おいやめろ、現状を思い出させるな。


「あー・・・みなにとって夫婦っていうのは、お互いの希望を無条件に叶え合う関係のことなの?」


 一瞬暗澹とした気分になりかけた私は、しかし転んでもタダでは起きない精神で現状の整理を再開させることにした。今後計画を立てていく上で何がヒントになるか分からないのだから、情報は集められる時に集めておくべきなのだ。


「ん?うーん・・・それは・・・ゲンミツに言うとちょっと違うような・・・」

「じゃあ、みなにとっての夫婦っていうのは?」


 私が問いを重ねると、みなとは顎に人差し指をあてて考え始める。


「ん~~・・・。そうだねぇ・・・何て言えばいいのかなぁ・・・えーっとね・・・」


 しばらくの沈黙ののち。


「・・・持久走」

「へっ?」


 聞き間違いを疑って素っ頓狂な声を上げる私に頓着せず、みなとは話し始める。

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