体温測定
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「お前、なんかさっきまでより顔赤くねぇか・・・?」
無事にトイレを済ませてみなとが所在なさげに佇む部屋の中へと戻り、再度布団の中に潜り込もうとする私を見ながら神崎がそう言った。私は枕に頭を載せ、掛布団を首の上まで引っ張り上げながらその質問に答えた。
「あー、うん・・・多分、ちょっと熱上がってきてんのかな。なんかだんだん気怠さが増してきてる気がするから」
私が曖昧に頷くと、神崎が枕元に置いてあった体温計を手に取った。
「・・・計ってみろよ」
差し出されたそれを受け取り、言われた通りパジャマの中に突っ込んで左の脇に挟む。電子音が鳴ってから取り出して、みなとが深刻そうな顔で見守る中、液晶画面の数字を確認した。
「・・・・・・。・・・大変言い辛いんだけど、39度4分・・・ぎゃ」
少し身体を起こしながら報告すると、神崎に肩を掴まれて強引に布団の上に押し戻された。
「なに起き上がってんだバカ寝てろ。・・・病院・・・はムリか。正月にやってるとこなんてこの辺ねぇもんな・・・」
「うん・・・薬は一応、前に買っといたやつがあるんだけど」
そこで少しの間があった後、仰向けに横たわる私を神崎が上から覗き込んできて眉間に皺を寄せた。
「・・・じゃあまずそれ飲んどけ。あと、その冷却シート。多分もう温くなってんだろ。替えはどこにある?」
「・・・もっぺん言い辛いんだけど、実はこれが最後の一枚」
神崎が大きくため息をつく。しかしすぐに切り替えるように頭を振り、色々覚悟を決めたような声でこう言った。
「しゃあねぇな、じゃあ冷やしたタオルで代用すっから。・・・あと私、しばらくここに居るから、様子見てこまめに取り換えてやるよ。他にもなんかしてほしいことあったらいつでも言え」
神崎がそう言った直後、私がトイレを終えて部屋に戻ってきてからずっと沈黙を貫いていたみなとが久方ぶりに口を開いた。
「そ、それは私が・・・」
「みなと」
けれど、私は敢えてそれを少し強い口調で遮った。




