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睨み合い

 私が必死に仲裁すると、みなとはしゅんとした顔になってすぐに口を閉じた。逆に神崎ははっきりと嬉しそうな顔をして「おう、任せろ」と言い、雑炊をすくったスプーンに今度こそ息を吹きかけ始めた。


「ん」


 神崎が再びぞんざいな仕草で、私の口元にスプーンを持ってくる。私は羞恥心をねじ伏せてそれを受け入れた。


「・・・・・・」

「・・・・・・」


 神崎が無言で雑炊を冷ます、私に食べさせる。私もまた無言で咀嚼そしゃくし、嚥下えんげする。しばらくの間、それが繰り返された。ナニコレ・・・。


 みなとはやはり悔しそうな顔で、じっと神崎の後頭部を見つめていた。


「・・・ご、ごちそうさまー・・・」


 食べ終わり、ふたりの顔色をうかがいながら手を合わせると、神崎がぐるりと身体からだをみなとの方へ反転させた。途端に、みなとの顔つきが先程までよりも更にけわしくなる。神崎の表情は私からは見えなかったが、みなとの反応から、今ふたりが火花を散らしてにらみ合っているであろうことは容易に想像できた。


 ・・・き・・・気まずい・・・。私はどうすれば・・・。


「あ、あー・・・私、ちょっとトイレ・・・」


 ヘタレは悩んだが結局、一時的にとは言え逃亡することを選択した。言い訳だけど、ひとりで考える時間をくれ。


 しかし━・・・。


「イツカちゃん、ひとりで行っちゃダメだよ!熱でふらふらでしょ?私が肩を貸してトイレまで連れて行ってあげる!」

「何言ってんだ、オメーじゃ力不足だよ。こいつはもう介助者に私を選んでんの、だから今回も私が連れて行く。なぁ?」


 え、えええ・・・。


 布団を身体からだの上から退かし、立ち上がりかけた中途半端な体勢のまま、ふたりの剣幕に面食らって私は硬直する。

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