P-1
昔携帯小説サイトで書いていた
『戦場を舞うF-14S』
の設定をベースに、新たに書き直したものです。
ご都合主義です。雰囲気でお楽しみください。
何時も通り、『閲覧は自己責任小説』です。
私が起きた時、画面越しに初めて見たものは一人の男だった。
優しく画面を撫でて私に語りかける彼は、凄く嬉しそうだ。
「おはよう。俺はお前を作った ―――― だ。お前の名前は『 ―――― 』」
低く、優しい声でそう私を呼び、よろしく。っと、彼は笑う。
それから彼は私に名前の他にも色々なデータを与えてくれた。
文字、知識、声、姿、そして・・・自律思考・・・。
長い時を一緒に過ごし、私の知識が生まれた時の何十倍、何百倍となった。
学習することは楽しく、新しい事を覚える度に喜んでくれる彼を、私は何時しか好きになっていた。
そんなある日、彼は私に語ってくれた。
何故私を作ったのか、作って何をしたいのか。
正直なところ、彼が言っていることは私には難しすぎて半分も理解出来なかったけれど、それでも自分の夢を語る彼がとても嬉しそうだったので、それでもいいやと思っていた。
いや、違うな・・・理解は出来ていたけれど、非現実的すぎて折角もらった思考力をこの時ばかりは敢えて使わないようにしていた・・・が、正しいのかもしれない。
何故なら、彼の話を聞いた私は否定してしまったのだ。
彼の考える、現実にしたい夢は『夢』のまま終わらせ無ければならないモノであると言う事を。
だから、敢えて思考を放棄したのだ。
大好きな彼を傷付けないように。
大好きな彼の『夢』を一緒に追えるように。
・・・大好きな彼と、何時までも一緒に居られるように・・・。