19/38
1-17
思い出そうとレイが自身の記憶を漁るよりも先に、彼女と一緒に居たのであろう男性が女性に声を掛けた。
「ヤタ、お前の素顔を「アテナ」は知らないんだろ。先ずは自己紹介してやれ」
「え?何?クロウ」
「じぃ~こぉ~しょ~う~かぁ~いぃ~」
「あ、そうか・・・何時も通信越しだったもんね。ごめんごめん!」
話についていけず、キョトンとするレイ。
「ヤタ?それに、クロウって・・・もしかして・・・」
そんな彼女よりも先に、カイは気が付いた。
「生身では初めまして・・・に、なるのかな?私はシグマの海軍所属、『レイブン』のヤタ・アオイ。階級は少佐。TACネームは『ブルー』。あっちの人相の悪い男は・・・」
「『レイブン』のクロウ・アカバネ。大佐だ。TACネーム『レッド』っていやぁ分かるか?・・・っつか、ヤタ。お前生身ってなんだ?どんな表現?後、人相悪いは余計なお世話だ!」
バコンッと良い音を立てながら、クロウはヤタの頭を持っていたファイルの面で叩く。