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「ホラ、サクマ・・・シッカリ目ぇ覚ませ。人にぶつか・・・ったか・・・」
人にぶつかると注意を受けている途中、彼女はものの見事に目の前の上官らしき女性に突っ込み、尻もちをつく寸前でカイに支えられた。
「っ!・・・あぅ、すみません・・・」
「あらら・・・大丈夫?怪我してない?」
怒られることを覚悟したレイだったが、上から降ってきた思いのほか優しい声に顔を上げる。
「あ・・・えっと、大丈夫です・・・すみません」
「前はちゃんと見た方が良いよ?と言うか、眠そうだね?サクマちゃん。もしかして朝弱い?」
レイのハネている寝癖を撫でつけながら、その女性は笑いながら尋ねた。
「・・・えっと?」
「ん?どうしたの?」
知り合いなのだろうかと、レイは彼女の顔を見上げるが思い出せない。
だが、記憶のどこかで彼女の声が引っかかる。