表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ANIMA  作者: パンナコッタ
穢れなき楽園へと誘う者
68/71

みんなにとっての楽園を

 のどかな丘の上にその樹はそびえ立っていた。その木の下には、かつて世界を壊した引き金となった少女がいた。


 晴天の元で、ただ1人少女はその木の下に座り続けていた。

 彼女はこの世界で1人なのだろうかーー


「メアリー!」


 遠くから声がかかった。

 その声はガブリエル達のものだった。

 彼らは木の下にいたメアリーの元を訪れに来たのだ。

 ガブリエルがシートをひき、その上に皆が腰掛ける。


「ウリエル、サンドイッチありますよいりますか?」


 メアリーはサンドイッチの入ったバスケットをウリエルに差し出した。

 ウリエルは何処か懐かしそうにそのサンドイッチを頬張る。


「なぁ、ご飯食べたらみんなで街に行かないか?」


 ガブリエルがそう提案する。

 その提案には全員が賛成し、街へと向かうことになった。


 シートを片付け、皆が街へと向かう。

 しかし、メアリーは動かなかった。

《その木》に触れ、メアリーは涙を流した。


「エース……そこにいるのよね……皆あなた

のことを忘れちゃってる……」


「あなたが記憶を消したの……?」

 

 メアリーはその場に泣き崩れた。

 その時、木の裏から声がした。

 ヘラクレスであった。


「ヘラクレス……! そこにいたの?」


 この新世界にメアリーが訪れたてから、ヘラクレスと会ったのは初めてだった。


「お前も記憶があるんだろ、メアリー」


 ヘラクレスはそう言った。

 お前も……どうやらヘラクレスも記憶が残っているようだ。


「何故かは分からねぇ、エースは俺とお前に記憶を残した……」


「この世にある魂を全て自身の魂で吸収した上で、全ての人類を再生させた。その過程で全員のエースに関する記憶を消去したのにだ……」


 メアリーはヘラクレスの方へと向かう。


「私も分からない……でも、ただひとつ分かることがあるの……エースはずっと私たちの為に戦ってくれてた……」


「私たちを楽園に誘う為に……」


「あぁ……」


 ヘラクレスは天を仰ぐ。


「思えば、あいつはそういう奴だったな……」


 エースは、《地球の再生と世界の再構築》の引き換えに命を落とした。

 エースは死ぬ間際、《地球の魂》と接触し、全ての魂を手に入れた上で、《生命の樹》と同等の力を手入れた状態で自信が樹となり、新たな世界を生み出し、その世界の中央に根付いた。


「エースは本当に楽園を望んでいたのね……」


 メアリーが再度《その樹》に手を当てる。

 エースは全ての《13の力》の概念を破壊し、イブによって創られた全ての概念もまたこの世から消し去った。

 エースは争いの根源のない、本当の楽園を築いたのだ。


「メアリー! 早く〜」


 遠くから皆の呼び声が聞こえる。

 メアリーはヘラクレスに別れを告げ、皆の方へと走った。


「はぁ……エース、お前ってやつは……」


『仕方ねぇさ、これが俺なりの罪滅ぼしだ』


 そう、声がした気がした。

 ヘラクレスは後ろを振り向くがそこには誰もいなかった。


「……エース」


 ヘラクレスの目から涙が溢れた。

 ヘラクレスは涙を拭い、何処かへと歩きだした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 最後までお読みいただきありがとうございました。


 今回にて、《ANIMA》最終回となります。


 約4ヶ月の間、不定期の投稿にもかからわらず多くの方にお読みいただくことができ、本当に嬉しいです。


 また、今後次回作や、二部作についても随時Twitterなどで発表しますので、その時はよろしくお願いします。


 最後に、本当にここまでお読みいただきありがとうございました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ