聖なる血の魔悪
「道の声……、答えはやっぱり……なのか」
エースは天界政府の宮殿の上空に辿り着く。
既に護衛の者達が取り囲むように宮殿の上を飛んでいる。
「……ガブリエル、ミカエル。メアリーを救うために俺は悪魔にしかなれなかった……。こんな俺でも、仲間でいてくれるか……?」
エースは2本の剣を腰から抜く。
深く息を吸い、目をカッと見開く。
直後、背中から巨大な触手を何本もだし、宮殿の屋根を貫く。
それに気づいた護衛の男達がこちらに飛んでくるが、全て触手で地に落とす。
屋根に穴の空いた宮殿には、あの男がいた。
「あいつだ……! あいつの力を……!」
エースは一直線に男の元に飛びかかる。
しかし、それを遮るように槍を持った男が攻撃を仕掛けてくる。
「私はロンギヌス。神を殺す者です……!」
ロンギヌスと名乗る男は、槍を使い応戦してくる。その隙にラファエルは、緊急伝令を伝え、宮殿に大量の兵士を集める。
「邪魔だ……!」
エースの振るった剣が、ロンギヌスの腹を裂く。 しかし、ロンギヌスは怯むことなく何度も攻撃してくる。
「たとえどんな理由があろうとも……! 世界は壊させませんよ!」
ロンギヌスは何度も攻撃を仕掛けるが、全てエースの剣に払われてしまう。
「……俺とお前じゃ背負ってるもんが違うんだよ!」
エースの剣がロンギヌスの腹を裂く。
「お前とじゃ、何もかも違うんだよ!」
振り下ろされる剣が何度もロンギヌスの腹を裂き続ける。
「フンっっ!!」
エースが剣を振り下ろそうとした瞬間、ロンギヌスの槍がエースの右腹を貫いた。
ロンギヌスは返り血をあびる。
すると、エースの血を浴びた箇所の傷が再生していく。
「やっぱりだ……! あなたは既に神の領域に達している! これだって……ルクスの柱を血を介して私に共有したんだ!」
「聖なる血……神の領域……神の力……」
そう言い残し、ロンギヌスは地に落ちていった。エースは自身の手を見つめる。
(神の領域……?力の共有……?)
エースの腹に刺さった槍は太陽の血でできているようだ。なかなかに抜くことが出来ない。
「ちっ……こいつを何とかしないと……」
次の瞬間、遠くの方から大軍の兵士が来ていることに気づいた。
その数はゆうに……数万。
「なっ……!」




