承諾
ニーナの首が地面に落ちた。
湧き上がる歓声。笑みを浮かべる執行人。
タナトスは泣き叫びながらニーナの方へ走り出す。
「こんなの……嫌だ!」
泣きじゃくって潰れた顔を天に向けながら魂の叫びを上げる。直後、意識が遠のく感覚に襲われた。 後ろから押えていた警備の男が鈍器を使いタナトスの頭を殴ったのだ。
タナトスは意識が遠のく中、小さく呟いた。
「ニーナ……嫌だよ……」
次に目を覚ました時、タナトスは砂浜の上にうつ伏せになっていた。
口に入った砂を吐き出しながら当たりを見渡す。タナトスの後ろ、砂浜の中でもっとも高い場所に赤い球体があった。
異様なオーラを出すその何かにタナトスは後退りする。
「なんだ……これ、どこだよ……ここ!」
「ニーナ! ニーナ! クソォォ!」
崩れ落ち、泣き叫ぶタナトス。
その時、タナトスは足音に気づいた。
ずっと遠くから水の中を歩くような足音がする。 タナトスが音の方へと進むと、少しした先に砂浜と水の境界線があった。
タナトスは一心不乱でその水の中を突き進んでいった。音のする方へ、まっすぐと。
そこに人影が現れた。
見間違えるわけが無い。
ニーナだ。
少し先を歩くのは間違いなくニーナだ。
「ニーナ!」
タナトスは10メートル程先にいる女性に話しかける。振り返った女性はやはりニーナであった。
「タナトス……」
「ニーナ、ここにいたんだな!」
タナトスは走ってニーナに近づこうとする、しかしニーナがそれを止める。
こちらに来ては行けないと、そう言う。
「なんで……ならニーナがこっちに来てよ!」
「それもできない……私は運命を歩かされているの……」
苦しい表情でニーナはそう言った。
運命?
一体なんのことだ。
「私の首が切られた時、誰かと会話した。そしてこの水の向こうへと進み続けろと言われたの」
「その男はそれを運命だと言った」
「そんな……」
タナトスはニーナの話に驚愕する。
膝から崩れ落ち、身から涙が溢れ出る。
「私はもう、何年もここを歩いている気がする……」
「この世界のことは……あまり分からないけど……」
「ただひとつ分かることはこの世界は全ての人間の記憶が入り交じった世界……それに時間は関係ない……過去の記憶であろうと、未来の記憶であろうと……」
「そしてあの男……誰かの記憶で見た……そう、エース……エース・レッカよ……」
ニーナはそう言った。
《エース・レッカ》、その名に聞き覚えはなかった。
「私には、あの男に抗うことは出来ない……これから恐らくどこかへと連れていかれる……」
ニーナはそう言い、タナトスの方へと手を向ける。
「今私にはこれしかできない……お願い、私を救い出して……」
呼応するかのように、タナトスもニーナに手を向ける。すると、2人の手が光の管のような何かで繋がる。
そしてタナトスは体の中に何かが流れ込む感覚に襲われる。
「これは……」
「私の持つ力……《悪魔の叫び》」
「あなたなら、使いこなせる……」
そう言い残し、ニーナは消えていった。
タナトスはその場に崩れ落ちる。
ニーナを失った喪失感が心を蝕んでいく。
その時、タナトスの横に誰かが現れる。
その男は道の声だった。
「おい、泣いている場合じゃない。ニーナを救い出すんだろ?」
そう言い、道の声はタナトスの髪を引っ張りあげた。
「なら、戦わなければならない。ニーナを救う方法はただ一つ……お前がガキの頃から教えられてたことはなんだ?」
「破壊こそが……真の創造……」
「そうだ、お前はこの世の全てを壊さなければならない。その方法は、創造と破壊の儀式……」
「ワールドエンドオーダーだ」
道の声は耳元でそう囁き、タナトスをほっぽり投げた。そうして道の声は姿を消した。
「俺は……戦うんだ……! ニーナを救うために……!」
久しぶりの投稿になりすみません_(。_。)_
リメイク版の作成に時間を取られていました。




