提案
2人のいる玄関にママが現れる。
「あら、2人ともどうしたの?」
タナトスはママに飛びかかる。
「ママ……! 大変だ、街で当局の男たちの話を聞いた、今日にでもここが襲撃される!」
「……少し落ち着きなさい、それより夕飯を作るわ。今日の夕飯はーー」
バンッ!
その時、扉が勢いよく開かれた。
扉を開けたのは昼間会った当局の男たちだった。
「大人しくしろ、速やかに連行する」
男がそう言うと、男の後ろからゾロゾロと当局の男たちがハウスに入ってくる。
「なっおい! やめろ! クソ……」
タナトスたちは手枷と目隠しを付けられてどこかへと連行される。
思い切り何かに押し込まれた。
それからどれだけの時間が経っただろうか。
感じるのは潮風の匂いのみ、隣にはニーナがいる。
「ニーナ……俺たち一体どこに……」
「分からない……怖いよ……」
波打つ音が聞こえた。
その時、目隠しから僅かに光が入る。
タナトスたちの入っていた箱の蓋が開けられたのだ。
「ほら、大人しくこい」
タナトスたちハウスの者は、手枷を縄で繋がれ、どこかへと引っ張られていく。
しばらく歩かされ続けたあと、人々の叫び声が聞こえてきた。
「殺せ!」
「早くしろ!」
そんな言葉が響き渡っていた。
タナトスたちは軋む木の階段を登らされる。
そこで初めて目隠しを外された。
「なっ……これは」
無数の人々が、歓声を上げてタナトスたちに石やらなんやらを投げつけていた。
「これより、不法に東の大陸内に住み着いていた者たちと、その手助けをしていた罪人を処刑する」
その言葉に、タナトスたちは息を呑む。
処刑……? ここはどこなんだ?
その時、タナトスは目を疑った。
タナトスたちの並ばされている横にギロチンが置かれていたのだ。
「そんな……嘘だろ」
「なぁ、ここはどこなんだよ……俺たち今から……」
タナトスは死刑執行人の男に悲痛な声で話しかける。
「ここはお前らの祖国、西の大陸だ。ここにいる者たちは、植民地開拓に当てられている東洋人の者たちだ」
「そしてこれより、貴様らは処刑される」
そう言い、執行人の男はニーナの頭を掴んだ。そして無理やり、ニーナを引っ張りギロチンに無理やり押し込む。
「ニーナ……! クソ……! やめろ!」
タナトスがニーナの元に走ろうとすると、後ろから警備の男に体を押し倒される。
「クソォォ! やめろ!」
「タナトス……私、あなたと出会えてよかった。あなたと沢山本が読めて本当に良かった。また、会えるよね……」
ニーナが最後に何かを言おうとした時、ギロチンの歯が落とされた。




