奪い、運命を歩く
「さぁ、行こうか!」
タナトスは長い槍のような武具を振り回してくる。
エースは飛び回りながら攻撃を避ける。
エースはタナトスの隙を突き、槍の持ち手の部分に右手の剣を使って斬り込む。
しかし、剣は弾かれてしまう。
その隙を突いたタナトスの攻撃を、空を蹴るように後ろに下がってエースは避ける。
(……持ち手の部分まで硬度が高い、武具の破壊は不可能か……)
エースは足を擦らせる様に地に着地し、体が前に45の角度まで倒れた瞬間に地を蹴り、タナトスに接近する。
そしてわずかにタナトスの槍の届かぬ場所で急停止し、地に手を当てタナトスの真下から触手を放つ。
触手はタナトスの腹をわずかに抉ったが、致命傷には至らなかった。
タナトスは後退して、腹の傷を押さえる。
「痛ってぇな。さすがに力を保有しまくっているだけはあるな」
エースが羽を広げ、わずかに空に浮く。
2本の剣を構え、タナトスに狙いを定める。
ユグドラシルの聖剣がタナトスの頬を抉り、アマテラスの剣がタナトスの左肩を抉る。
凄まじい連撃にタナトスは怯みつつも、後退してエースと距離を取ろうとする。
しかし、エースの攻撃は続く。
タナトスは徐々に傷を負わされていく。
エースが思い切り振りかぶり、右手の剣でタナトスの腹を思い切り裂き切る。
「ぐっ……!」
タナトスは体を吹き飛ばされ、衝撃で口から血を吐く。
タナトスは建物の残骸に激突する。
「くそ……」
エースはタナトスの元へと近づく。
「終わりだ」エースはタナトスの魂を抉り取るために剣を構える。
「まだ……まだだ、ニーナ! 待ってろよ!」
タナトスが天に向かって叫び声をあげる。
すると、辺り一体に白い何かが無数に現れる。
エースが後ろを振り返っている間に、タナトスは空を飛び、空に逃げる。
「待て……! くそ……」
白い何かは形を形成していく、それは紛れもなく人の形だった。
「そいつらをぶっ殺せ! 1人逃さず!」
タナトスが白い何かに対して天から叫ぶと、白い何かの目が赤に染まり、呻き声を上げだす。
そして【白い人間】たちは腰に差してある剣を抜き、エースたちに斬りかかる。
「なんだこいつら……!」
白い人間たちはヘラクレスたちにも襲いかかる。
エースは襲いかかってきた数人を薙ぎ倒すも、そいつらは無限に湧いてくる。
その時、エースの視界に意識を失ったメアリーを連れ去ろうとする白い人間が写った。
「待て!」
エースは追いかけようとしたが、白い人間たちに前を塞がれる。
斬り倒しても斬り倒してもエースを憚る様に襲いかかってくる。
エースの体を白い人間たちが体を包み込む。
その時、白い人間に運ばれている最中に目を覚ます。
「ここは……」メアリーはその状況を見て青ざめる。
「エース……!」
メアリーは身を乗り出してエースの名を叫ぶが、白い人間に体を抑えられて抜け出すことができない。




