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ANIMA  作者: パンナコッタ
王女の賭けと終わりの始まり
36/71

いつの時代も一緒なんだな、世界ってのは……誰かが憎まれ役にならないといけない。

 私はその夜、屋上で星を眺めていた。

 城から眺めていたものと同じ空を。

 その時、誰かが屋上への階段の扉を開けた。

 私が振り返るとそこにいたのはルイスだった。


 「お前も、ここか……」


 ルイスは私の少し離れた位置に座り込み、

夜空を眺める。

 私はずっとルイスのことが気になっていた。

 私が彼から受けた仕打ちは、

彼の気持ちからすれば当然のものだ。

 彼の両親を殺したのは父なのだから。

 私はそう受け入れた。

 自分をこれ以上傷つけない為に。


 「ねぇ、あなたはどうして軍に来たの?」


 私は離れた位置に座るルイスにそう聞く。

 ルイスは夜空を眺めるのをやめ、こちらを見て

「お前には関係ない」とだけ言う。


 私は少ししょんぼりとするが夜空に輝く星が私の心を包み込んでくれる。

 その後どれだけの時間そこに居たのだろうか。


 私が気づいた時には朝になっていて自分の部屋にいた。

 

 「私……いつの間に……」


 外は快晴で、小鳥が鳴いている。

 私は朝の用事を済ませて射撃場へ向かう。

 そこにはルイスがいて、すでに練習を始めていた。


 「あっ……おはよう」


 私はルイスにそれだけ言って銃に弾を込める。

 それからはまた、いつものように無言で的を撃ち続けるだけだった。


 すっかり日が暮れ、部屋に戻る帰り道、偶然広場の前を通った時、同期の訓練兵たちの声が聞こえた。


 「本当に……戦争に、嫌だ! 死にたくない!」


 男がそう喚く。

 その横にいるであろう男が、


 「大丈夫だ……俺たちはイザベルと同じ班だ。前線に行くことはおそらくない……」


 そう言う。

 

 私はそれを聞いて、自室に戻った。

 他の訓練兵とはあまり喋ったことがない。

 私のことを避けているのだ。


 無理もない、突然王室の者が軍に来るなんて……

 私はそのまま夜ご飯も食べずに眠りについた。


 それからは一瞬だった。

 気づいたら出兵の当日になっていた。



 


 教官から引き継がれ、我々の隊長であると言う男が拠点の前で作戦を告げる。


 「貴様らはこれより、後方から来る上級兵士たちの為に、敵国の森に侵入し、敵の拠点を襲撃してもらう」


 その作戦の内容は、兵士たちが危惧していた最前線への特攻であった。


 「そんな……」


 男が膝から崩れ落ちる。


 「なぜ我々が……」


 その問いに隊長は、


 「無論、貴様らが捕虜の子供であるからだ」


 そう答えた。

 

 「でも、こいつは……こいつはアナスタシア・イザベルだぞ!」


 男は私の方を指差してそう叫ぶ。

 男の叫びに隊長はそんなこと関係ないと答える。


 私はその時感じた、この男はアナティアラの世話役の男と繋がりがある。

 奴が送り込んだ者か……


 私たちはいくつもの爆弾や装備を持たされ、敵陣への特攻を命じられた。

 やることは簡単だ、この森を抜け敵の拠点を破壊する。


 生きて城に帰るんだ。

 私は自分を奮い立たせる。

 私たち最前線特攻班は敵国の森へと侵入した。

 森を走り抜ける中、私の頭には世話役の男の顔が浮かんだ。


 (絶対に、あなたには負けない!)


 そう思った時だった。

 隣を走っていた女兵の体を巨大な岩が砕いたのは。


 凄まじい爆音を立てて、岩が転がっていく。

 全員が叫び声をあげる。

 敵が侵入に気づいて攻撃を仕掛けてきた。

 空からは大量の岩が落ちてくる。

 岩の落下によって森中に何度も爆音が響き渡る。


 とにかく前に走ろうとしていた時、

どこからか呻き声が聞こえる。


 先程、怯えていた男兵だった。

 岩に足を砕かれ、立てない様子だった。

 私は男兵の元に近づこうとしたが誰かから腕を引っ張られ、木の影に連れてかれる。


 「なっ、何を!」


 私を引っ張ったのはルイスだった。

 

 「彼を助けないと!」


 私がルイスにそう叫んだ時、横から爆音が響いた。

 男兵がいた位置に岩が直撃したのだ。

 私は声を荒げて叫んだ。

 次々と人が死んでいく。

 岩に体を砕かれて死んでいく。

 パニックを起こして立ち上がろうとした私をルイスは引き止める。


 「バカ! 物陰に隠れろ! 大岩に体を砕かれたいのか!」


 私は涙を流して崩れ落ちた。

 こんなの、みんな死んでしまう。


 「ここなら安全だ……無闇に外には出るな」


 ルイスはそう言い、銃に弾を込める。

 

 「もうすぐで森を抜けれる、そうすれば対人になる……」


 私は完全に戦意を喪失していた。

 あまりに残酷な世界に感情を爆発させていた。


 その時、どこかで爆発音が響いた。

 

 「何……?」


 火柱が上がり、その火は森の木に燃え広がった。

 火はどんどんとこちらに迫ってくる。


 「立て! ここから離れるぞ!」


 ルイスはそう言い、私の腕を引っ張り、走りだした。


 

 

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