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ANIMA  作者: パンナコッタ
王女の賭けと終わりの始まり
35/71

未来の君へ

 奴の狙いはおおよそ分かっている。

 私が戦地に行き、そこで死亡すれば次期国王は私の妹のアナティアラになる。

 そうすればまだ幼いアナティアラの世話役である奴が実権を握ることになる。

 それが奴の狙いだ。


「私は屈しない、この賭けに勝ってみせる」


 次の日、私の軍の所属が正式に民に発表された。

 民は突然のことに激しく混乱していた。

 

 「アナスタシア様が……軍に……」


 職人の男は新聞を見て唖然とする。


 私はその日、軍の訓練場に向かった。

 街の端にある我が国の巨大な訓練場だ。


 「今日からアナスタシア様が訓練に参加されることになった!」


 教官らしき男が他の訓練兵達に私を紹介する。


 「教官殿、私は今1人の訓練兵です。イザベルでよろしくお願いいたします」


 私の言葉に教官は言葉を詰まらせるがそれを了承する。

 そこから私の訓練生活が始まった。


 射撃は得意だ、幼き頃から狩猟を父と共にしていただけはある。

 正確に的を撃ち抜く。

 

 私はその時、後ろから何者かの気配を感じ取る。


 「誰ですか! そこにいるのは」


 背後の物陰から出てきたのは同じ訓練兵【ルイス】であった。


 「あなたですか……」


 私は胸を撫で下ろす、そんな私をルイスは睨みつける。

 ルイスは私になぜ軍に来たのかと聞いてくる。

 私はその問いに言葉を詰まらせながらも、民の気持ちを知るためと嘘を吐いた。


 「……嘘だな? お前」


 ルイスは見透かした顔でそう言い、私の胸ぐらを掴んでくる。


 「なんで王室の人間がこんなところに来るんだよ! 俺は捕虜の子供だ! 俺の親は……お前の親父に殺された! そんな奴の子供が何が民の気持ちを知りたいだ……!」


 「ここには捕虜の子供が大勢いる、家族の最低限の暮らしを保証する代わりに兵士になるんだ……」


 ルイスは激しく激怒し、そう言った。


  「俺はお前が憎い……! お前のような奴がここにいることが許せない!」

 ルイスは私を投げ捨て、射撃練習場を出て行った。

 私はそこで1人で伸びた服の胸元を見つめる。


 「私だって……こんなこと……」


 目元から涙が溢れる。

 


 それから一年がたった。

 私はまた、あの射撃場にいた。

 隣ではルイスが射撃練習をしている。

 静かな空間に銃声だけが響き渡る。


 「ふぅ……」


 今、世界は領土争いにより、とてつもない緊張感にあった。

 西の大陸の植民地獲得権を求めて多くの国が争いを起こしている。

 我が国も同じだ、隣国と今にでも戦争になりそうな状況だ。


 「あんたは……戦争にも行くのか?」


 ルイスは照準を覗きながらそう言う。

 私は突然話しかけられて驚くが、「行くためにここにいます」そう答える。


 「そうか……」


 ルイスは静かにそう言う。

 ルイスの銃から放たれた弾丸が的の中心を貫く。


 

 それから数ヶ月。

 隣国との戦争が本格的なものとなった。

 そして今日、教官から重要な発表があると言われた。

 他の訓練兵達は出兵するのではないかと、憶測を立てて怯えていた。


 「これより、重大発表を行う!」


 教官は広場に私たちを集めて大声で重大発表を始める。

 皆が息を呑む、一体何の発表か……


 教官から放たれた言葉は、私たちの予想通りのものであった。

 私の後ろに整列していた女性が座り込んで吐き出してしまう。


 「出兵って……しかも……3日後ですか……」


 男の訓令兵が目を見開いてそう言う。

 本当に3日後に……いいえ、覚悟はできていたはず。

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