始まりの記憶
そこは小さな丘の上で,巨大な一本の木が聳え立ち,近くには川が流れていた。
「俺は…ルイスはその木の下で目を覚ましたんだ…誰かに肩を揺すられて…」
エースは記憶について語り出す。
「それはアナスタシアだった…アナスタシアは木の実を取ってきたと,ルイスに伝えた」
「木の実を取ってきたぞ,ルイス」
今の見た目より少し若いアナスタシアがルイスの肩を揺すりながらそう言った。
「ごめん,寝ちゃってた」
ルイスはあくびをしながらそう言う。
2人は皮でできたものだろうか,
質素な服に身を包んでいる。
「今日は探検に行くんだろ,まだ出なくて良いのか?」
アナスタシアはルイスに木の実を一つ投げ,そう言った。
ルイスは太陽を見る。
「あっ,もうこんなに寝てたんだ…そろそろ行かなきゃ」
ルイスは木の実をひとかじりして立ち上がった。
「美味しい木の実を探してくるんだろ?楽しみにしてるぜ」
「俺は少し休憩したらまた木の実を取りに行く,飯までには帰れよ」
アナスタシアのその言葉にルイスは笑顔で頷き,森の方へと歩いて行った。
「しばらく歩くと,そこには海があったんだ…」
エースはそう言う。
その目はどこか遠くを,昔の思い出に浸っているかのような目をしている。
「その海の少し先に…氷の陸があったんだ」
「氷の…陸?」
ヘラクレスはそう呟く。
「あぁ,ルイスはその氷の陸に興味が湧いて探索することにしたんだ…」
エースはそう言った後,はっとした顔をして,メアリーの顔を見る。
「そこには…巨大な氷の柱があった…その中に…」
エースはメアリーを見つめながらそう言う。
「その中に何があったの…?」
メアリーはそう聞く。
「…いや,それが…憶えてないんだ…その部分だけ記憶が…無くて…」
エースは誤魔化すようにそう言った。
それもそうだろう。
実際にははっきりと憶えている。
でも言えるわけがない,何千年前の記憶…ルイスの記憶…その氷の柱の中にいたのが,
今目の前にいる“メアリー“だったなんて…
「その後,どうなったんだ…?」
ヘラクレスがそう聞いてくる。
「その後は…力を手に入れた」
エースはそう言った。
「その力って…まさか…?」
メアリーは息を詰まらせてそう言う。
「あぁ…九魂神の力だ…」
「そしてその力は,アナスタシアが持っていた力『創造の力』だ…」
創造の力とはありとあらゆる物質を生み出すことのできる力である。
現在の継承者はエースである。
「どうやって…手に入れたんだ?」
ヘラクレスがそう聞く。
「…分からない…気づいたら…手に入れていた…」
エースはまともや誤魔化すようにそう言った。
手に入れた理由は分かっている…
でもそれは言えない…
ルイスはあの時,氷の柱に触れた。
すると,感じたことのない感覚…いや,俺は感じたことがある…
あの日,メアリーから力を継承した時と…同じ感覚だった…
つまり,ルイスは『創造の力』をメアリーから継承したのだ…
そしてその時,ルイスの中に記憶のような何かが流れ込んできた。
あれは…メアリーの声だった。
『苦しみから解き放たれる術は創造のみである』
そう,頭の中に流れてきた。
「真逆だな…あいつの言っていることと…」
エースはそう呟いた。
それに2人が反応するがエースはまたも誤魔化した。




