蒼い瞳
「メアリー!」
エースはメアリーの名を叫び,
メアリーの元へと走る。
「ごめん…メアリー…」
エースはそう言い,
なんとメアリーに抱きついたのだ。
「え…エース…?」
メアリーは突然のことに困惑する。
「ごめん…俺が…俺が君を守るから…!」
エースは涙を流してメアリーにそう言う。
「…嬉しい,ありがとう…」
メアリーはエースの手に触れてそう言う。
しばらく抱き合った後にメアリーがエースの顔を見て驚く。
「エース…」
「瞳が…蒼くなってる…」
メアリーはエースの涙を指で拭い,そう言った。
「え…」
「そうか…蒼い瞳か…」
エースは困惑するも,
何かを理解した様子でそう言った。
エースはメアリーから腕を離してメアリーの後方に目をやる。
「ありがとう,アクア」
アクアはその言葉に会釈を返した。
後日,
『アナシズム党』の者たちは牢へ連行され,
尋問にかけられていた。
「お前たちはなぜこんなことをした!」
尋問官の男はディトルの爪に器具を取り付けながらそう言う。
「ぐっ…,俺たちは…アナスタシア様の意思を継ぐために…」
ディトルは指の痛みに耐えかねてそう言った。
「アナスタシアだと…! この野郎!」
尋問官はディトルの人差し指の爪を思い切り剥がす。
ディトルは痛みに悶えて発狂する。
「つまり,お前らはアナスタシアの手下ということか?」
尋問官は次の指に器具を取り付けてそう聞く。
ディトルは冷や汗をかき,
あまりの痛みに涙を流している。
「違う…手下なんかじゃない…俺たちは…俺たちにとってアナスタシア様は光なんだ…この腐った世界を変えようとした…正義なんだ…」
ディトルがそういった時,尋問官がディトルの中指の爪を剥ぎとる。
「いだぁぁぁぁぁぁぁ!」
ディトルは仰け反りながら発狂した。
ディトルは息を切らして過呼吸になる。
「この本がお前らのアジトから見つかった」
尋問官はそう言い,1冊の本を取りだした。
「…! その本に触れるな!」
ディトルは立ち上がろうとするも体が固定されているため立ち上がれない。
「この本は何かな?」
尋問官は低い声でそう聞く。
「それは…! アナスタシア様の思想が書かれた本なのだ! お前ら悪魔の手下どもが触っていい代物ではない!」
ディトルは唾を飛ばし,叫ぶようにそう言う。
「そうか,なら触らないでおこう」
そう言って尋問官は本を床に投げ捨てた。
「お前! ふざけるな!」
ディトルは叫び散らかした。
尋問はその後,何時間も続いた。
その時,エースたちは宮殿にいた。
「ヘラクレス,あの男…ディトルはどうしたんだ?」
エースがヘラクレスにそう聞いた。
「あぁ,奴は尋問にかけているよ,奴にはまだ企みがあるかもしれない」
ヘラクレスはそう言った。
「そうか…」
エースは静かにそう言った。
エース,ヘラクレス,メアリーの3人は宮殿内の部屋に集まる。
「エース,改めてルイスの記憶について聞かせてくれ」
ヘラクレスは前かがみになってそう言った。
「あぁ…」
エースはお茶を1口飲んでから2人の方を向いた。
「記憶の始まりは…巨大な木の下からだった」




