残された謎
エースが消えてから二日が経った。
「エース…どこに行ったの」
メアリーはそう嘆く。
「今はそっとしといてやろう,そのほうがあいつのためにもなる」
ヘラクレスはそう言う。
「そう…ね」
メアリーは心配しながらもそう言う。
現在の天界の状況を端的に話すと,天界の民を永らく苦しめていた『天界禁忌法典』の改変が可能である原本が入手された。
それに伴い,天界政府は天界禁忌法典の改変を行おうとしている。
また,旧政府が大量の天界の歴史に関する書などを処分したため天界の歴史は永らく謎に包まれていた。
しかし,エースが見つけた『セカイノレキシ』のように天界政府が重要書として指定し,保管されていた本がもう一冊発見された。
その書の名は『クロネノホン』だ。
その本には『セカイノレキシ』同様にこの世界の起源からの話が書かれていた。
しかし,その本に書かれていたのは『セカイノレキシ』同様,抽象的なものであまり意図がくみ取れない。
そんな中,ヘラクレスたちは天界禁忌法典改変権獲得について正式に演説をしようとしていた。
十三日後,天界政府は町の中で演説を行った。
その演説会場はどこかガブリエルがあの日,演説を聞いた場所に似ている所だった…
(緊張するな…)
ヘラクレスは演説台の上に立った。
「全ての等しき天界の民よ,我々は遂に古来よりこの世界を蝕み続けてきた天界禁忌法典の改変権を得た」
そのヘラクレスの言葉に民衆の中からいくつもの歓声が上がる。
「そして,我々はこの書を廃止し,現在天界の基本法典ともなっているアトラス法典を正式な法典とする」
ヘラクレスはそう言った。
悪しき天界禁忌法典を完全廃止し,エースたちが制定したアトラス法典が正式な法典となる。
「我々は…大勢の仲間の死の元に今ここにいる,我々はこれからもすべての民に等しき政府であり続けることをここに誓う」
ヘラクレスのその言葉に大きな歓声が沸く。
(やったよ…皆,エース…これでよかっただろ…)
その時,エースは教会にいた。
太陽の光で巨大な像は照らされる。
ルイスとは
アナスタシアとは
道とは
九魂神とは
世界の歴史とは
正義とは
悪魔とは
物語は三章へと続く…
お読みいただきありがとうございます
「ANIMA」では第一話のタイトルでもある「悪魔のなりかた」というものを追求できればなと思っております。
自分にとって正義でも,それはだれかにとっての悪である。
英雄と呼ばれても,だれかにとっては悪魔だろう。
そんな私の持論をもとに書いております。
次回からは三章開幕です。




