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ANIMA  作者: パンナコッタ
統べる者と王の資格
19/71

悲痛な叫び

 エースは地面に倒れ込んでいた。


 青い雷に貫かれた腹が何故か再生できない…


(くそ…どうして…)


 今…俺はあいつの言った『道の力』を発動させたのか…


 意識が遠のいていく。


 塞がらない腹の傷からどんどん血が垂れてくる。


 (こんな…ところで…)


 エースはヘラクレスの方を見る。


 ヘラクレスは重症の兵士の蘇生の代償に大きな傷を受けていた。


 口から血を吐き,心臓は異常なほどに鼓動し,今にも死にそうだった。


 エースの方に駆け寄ろうとするミカエルにアナスタシアは触手を放った。


 「ミカエル…!」


 俺は手を伸ばし,そう叫んだ。


 間一髪のところでガブリエルが触手を真っ二つに叩き切る。


 (このままじゃ…みんな死んじまう…)


 エースは立ち上がろうとする。


 しかし深い傷が痛み,力が入らない。


 (体を再生させないと…このままじゃ)


 その時,ガブリエルがこちらを振り向いた。


 ガブリエルは静かにこちらに笑顔を送った。


 (ガブリエル…?)


 ガブリエルはアナスタシアに剣を向ける。


 「エース,俺が今…終止符を打つ」


 「悪魔との戦いに!」


 ガブリエルがそう叫んだ時,ガブリエルの体が光に包まれた。


 右手に持っていた『ユグドラシルの聖剣』は光を強める。


 ガブリエルは全身に光のオーラを纏った。


 ガブリエルの頭の上に天使の輪が現れる。 


「なんだこれは…?」


 アナスタシアはそう呟いた。


 「俺の力…『アンゲルスの光』だ」


 ガブリエルはそう言う。


 


 


 ガブリエルは横に立つミカエルの方を見る。


 ガブリエルはそっと頷き,ミカエルもそれに静かに頷き返す。


 2人は拳を合わせる。


 すると,ガブリエルの体を纏っていた光のオーラがミカエルの体にも纏わりつく。


 「行くぞ」


 「行きましょう」


 2人は目にも止まらぬスピードで地を蹴り,アナスタシアに斬りかかる。


 「なんだ…!速すぎる!」


 アナスタシアは左腕を吹き飛ばされる。


 切られた部位を再生させる時間もないほどの連撃。


 アナスタシアはたまらず剣を握った右腕を振る。


 その攻撃はミカエルに僅かに交わされ頬に擦り傷を負わせただけだった。


 そしてアナスタシアは驚愕する。


 ミカエルの頬傷が光を纏い,発光した物質へと変化したのだ。


 「なっ…!」


 その後も連撃は続いた。


 アナスタシアは必死に抵抗する。


 アナスタシアは剣を振り,ガブリエルの右足を切り落とすも,先ほどのように発光した物質が足として生成される。


 ミカエルの剣がアナスタシアの腹を貫く。


 ガブリエルの剣がアナスタシアの首を跳ね飛ばす。


 2人は叫びを上げる。


 ガブリエルがアナスタシアの胸目掛けて剣を構える。


 「これで…終わりだ…!」


 ガブリエルはそう叫んだ。


 エースは地面に倒れ込み,激闘を見ていた。


 (いける…アナスタシアを…倒せる!)


 「いっけぇぇぇ!」


 エースはそう叫んだ。


 ガブリエルの剣がアナスタシアの胸を貫いた。


 (後は…魂を吸収するだけだ…!)


 その時,アナスタシアの傷口から眩い光が漏れる。


 「なっ…」


 次の瞬間,大爆発が起きた。


 辺り一面が焼け,煙が立つ。


 エースは爆風に吹き飛ばされる。


 「一体何が…」


 「お前ら…どこに…」


 エースが煙の中を歩いていると2人の姿を見つける。


 「お前ら!」


 エースは2人に近づく。


 「…え」


 エースがそこで見たのは身体中が発光した物質に変わっていた2人だった。


 「お前ら…大丈夫…なのか…」


 エースはそう呟く。


 「おい…!嘘だろ!2人とも…ガブリエル…!ミカエル!」


 俺は2人の手を握った。


 「どうして…そんな…」


 エースは大粒の涙を流す。


 「…エース」


 ミカエルの掠れた声だった。


 「ミカエル…!ミカエル…無事だったか…!」


 エースは笑顔を見せる。


 「ごめんなさい…」

 

 ミカエルはそう言った。


 「…え?」


 エースの顔から笑顔が消える。


 「私もガブリエルも…もう…」


 ミカエルは意識が朦朧とする中,そう告げる。


 その時,ガブリエルが意識を取り戻す。


 「ガブリエル…ガブリエル!」


 エースは泣き叫んだ。


 「エース…ごめん…」


 ガブリエルもエースに謝った…


 「何を…何を言っているんだ…2人とも…」


 「まだ助かる…!諦めるな!」


 エースは2人を担ぎ,歩き出す。


 爆心地から少し離れた所にヘラクレスは居た。


 傷だらけの2人を見てヘラクレスは言葉を失う。


 「ヘラクレス…2人を…2人を治してやってくれ…」


 エースは涙を流してそう言った。


 


次回,続きます

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